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過去のニュース(2018年)

2018.12.15 トーナメント

アメリカが9年ぶりにヨーロッパを下し優勝!!

2018モスコーニカップⅩⅩⅤ

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会場となったロンドン「アレクサンドラ・パレス」


ようやくアメリカがタイトルを取り戻した。12月4日(火)?12月7日(金)にイギリス・ロンドンにて、『2018モスコーニカップⅩⅩⅤ』が開催された。結果はアメリカが11?9でヨーロッパに勝利した。アメリカはなんと2009年以来の優勝。これにより両チームの対戦成績は12勝12敗1分けと、アメリカが許した昨年のヨーロッパのリードをタイに戻した。

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チームマッチで勝利し、幸先の良いスタートを切ったのはヨーロッパだった


アメリカは大エース、シェーン・バン・ボーニングを筆頭に、ビリー・ソープ、テイラー・スタイアー、コーリー・デュエル、スカイラー・ウッドワードというアメリカきっての実力者達を揃えた布陣。対するヨーロッパもジェイソン・ショウ(スコットランド)、アルビン・オーシャン(オーストリア)、ニールス・フェイエン(オランダ)、エクレント・カチ(アルバニア)、アレクサンダー・カザキス(ギリシャ)、というこちらも超豪華な陣容となった。

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今年もヨーロッパが圧倒するかに思えたダブルスの内容だった


初日となるday1、出場する全選手による5対5のチームマッチから始まり、シングルス2試合、ダブルス2試合の計5試合が行われた。アメリカは今年こそはスタートダッシュを切りたいところだったが、チームマッチを5?4で競った末に落とすと、マッチ2となるダブルスのウッドワード&ソープvsオーシャン&ショウの試合はウッドワードの2度のブレイクの配置ミスによりチャンスを逃す。相手のミスを逃さなかったヨーロッパが5?1で危なげなく開幕2連勝を飾った。

嫌な流れが続くアメリカだったがここから怒涛の追い上げを見せる。続くマッチ3では23歳のルーキー、スタイアーがフェイエンに5?3で勝利すると、続くマッチ4ではボーニング&デュエルとモスコーニカップデビューとなるカチ&カザキスのペア。これを5?1でアメリカがものにし、2?2。1日目最終試合となったシングルスはボーニングがショウを5-0と一蹴。これによりアメリカは3?2で2012年以来となる1日目をリードする形で終えた。

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2日目をリードで迎えるという最高の結果をもたらしたボーニング


続くday2はシングルス2試合、ダブルス3試合の計5試合。1試合目となるマッチ6では前日の再戦となるボーニングとショウの対決。同じ相手に2度負けるわけにはいかないと、ショウが5?2でリベンジに成功する。続くダブルスはアメリカが取るも、シングルスのマッチ8でオーシャンがデュエルに競り勝ち、2?1でヨーロッパがリード。

トータルスコア4?4で迎えたマッチ9。ソープ&スタイアーのペアがカチ&ショウを5?2で下す。2日目最終のマッチ10のシングルスではダブルスの勝利で勢いに乗ったソープが、同じくダブルスで相見えたカチを5?3。1日目同様、逆転でスコアを3?2。トータル6?4でアメリカがリードを保つ結果となった。

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ダブルスで勝利し、流れを引き戻せるかに思えたが......


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ヨーロッパの前に立ち塞がったのはウッドワードだった


アメリカが2日連続リードで迎えたday3はダブルス3試合、シングルス2試合で行われた。この日、ウッドワードが大車輪の活躍を見せる。5試合の内、3試合に出場し全勝、特にシングルス2試合でそれぞれ5?3(カザキス)、5?4(ショウ)。特にショウとの一戦は4?3で先にリーチをかけられる苦しい展開だった。

続く第8ラック。ショウのブレイクノーインなどのミスや、ウッドワードの粘り強いセーフティにより4?4のヒルヒルに。冷静に的球をポケットしていき8番から9番に手球をポジションさせると、観客に対して耳に手を当て、声が聞こえないぞと言わんばかりに煽りに煽る。ブーイングと歓声が入り交じる中、きっちりと9番を沈め逆転勝利。3日連続でアメリカの3?2。トータル9?6といよいよ優勝がすぐそこに近づいてきた。

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優勝を決めた直後のボーニングの勝利の雄叫び


運命のday4はシングルス5試合。2勝で優勝が決まるということもあり、早々に勝負を決めたいアメリカ。前日に活躍を見せたウッドワードを初戦に送り込んだ。この日もウッドワードは強く、オーシャンを相手に5?4で勝利し9年ぶりの優勝にあと一歩まで迫った。しかし、黙ってアメリカの優勝を見届ける訳にはいかないヨーロッパは、ここからショウがスタイアーを5?3、フェイエンがデュエルを5?1、カチがソープに5?2と、3試合連続で白星を重ね、トータルスコア10?9で決着は最終戦に持ち込まれた。

最終戦。ボーニングvsカザキス。アメリカにタイトルをもたらすべく、ボーニングは高い集中力を見せ4?3と優勝まであと1ラックに迫った。迎えた第8ラック。2度3度のセーフティ合戦の後、カザキスのセーフティが穴前で1?9コンビの形を作ってしまう。これにはカザキスもたまらずうなだれる。決めれば優勝のアメリカ。ボーニングはしっかり時間を使い、狙い澄ましたショットは1番が9番を押し込み5?3で試合終了。トータル11?9でヨーロッパの追撃を振り切り、モスコーニカップを勝ち取った。

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監督・選手全員が台の上に登り喜びを分かち合った


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ついに栄冠を取り戻したアメリカ。来年はタイトル防衛に期待が懸かる


最終戦に登場し、母国に優勝をもたらす、これこそがボーニングのエースたる所以なのだろう。試合後のボーニングは「あのコンビを決めるときのプレッシャーは今までの人生で感じたことは無かった」と、インタビュアーに語っていた。やはり数々の激戦をこなしてきた男でさえ、最後の場面の緊迫感は想像を絶するものだったようだ。大会MVPはウッドワードが選ばれた。

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大会MVPに選出されたウッドワード。day3・day4での活躍は目を見張るものがあった


個人の能力の高さではヨーロッパに分があったかもしれない。しかし、よりチームとしての団結力を見せたのはアメリカだったように感じる4日間であった。来年、ヨーロッパが覇権を奪回するのか、それともアメリカが死守するのか、もうすでに次の大会が楽しみだ。

写真提供/Matchroom Sport