RANKING #2 栗林美幸
11月19日(日)から開催される『第51回 全日本選手権大会「寬仁親王牌」』まで3日を切った。ポケットビリヤードにおいて国内最高峰とされる「全日本」は、国内外の強豪選手が集まり毎年注目を集める。今回はそんな「全日本」で活躍が期待されるJPBAランキングトップ5を紹介したい。
現在JPBA女子プロランキング2位に着けるのは、2340pt獲得している
栗林美幸だ。3位の
平口結貴に50ptの差を付けている。香川県出身の栗林は、福家美幸として2003年にプロ入り。翌年2004年にはジャパンオープンで日本人最高位の3位入賞、2005年の「全日本女子プロツアー第4戦」でプロ初勝利を飾る。その後勢いを年々増し、2008年にはジャパンオープン2連勝を含む年間6勝をあげ、MVPを獲得した。
2008年ジャパンオープンの栗林
2010年、同じくJPBAプロの
栗林達と入籍。夫婦揃ってトップランカー同士ということで、昨年の北海道オープンでは栗林 vs 栗林の対戦が実現した。(ベスト16戦、8?3で栗林達の勝利)。出産育児のため2010年?2013年まで戦線を離脱したが、2013年の夏に復帰。登録名を栗林美幸に改めスタートを切ると、2014年の1月「関西レディースオープン」、5月には「大阪クイーンズオープン」で優勝を果たし、およそ2年のブランクを経てなお溢れる実力を示した。それ以降も毎年公式戦2戦以上で優勝をあげる活躍ぶりを見せる。
今年は5月の「大阪クイーンズオープン」、8月の「全日本女子プロツアー第4戦」、10月の「九州レディースオープン」の3つの大会で優勝をあげている。昨年最後の白星は10月の九州レディースだから、大阪クイーンズはおよそ7ヵ月ぶりの公式戦優勝だった。
大阪クイーンズ決勝では、久保田知子を2点に抑え気持ちの良い優勝を果たした
国内の2大タイトルに目を向けると、ジャパンオープンに関しては2007年、2008年、2016年と3度の優勝を成し遂げている。対して全日本の優勝はまだ経験していない。プロ入りした2003年はベスト8、それ以降も決勝日まで勝ち進むもののベスト16での敗退が多い。全日本で最も良い成績を残したのは去年だ。栗林は、ステージ2予選を勝者側から突破すると、トップアマの原口さゆり、台湾の謝??をヒルヒルで下し、ベスト8へ進出した。
土師理恵子との対戦を9-5で制し、自身初の全日本準決勝進出を果たした。その準決勝では、
青木知枝(藤田知枝)をマスワリとセーフティで1点し仕留め、ミスの少ない好プレーで決勝の舞台へ上がった。
初の全日本決勝。栗林と対戦したのは、昨年世界タイトルを総なめにした
陳思明だった。2017年の陳は、3月のアムウェイ世界ナインボールオープンから始まって、チャイナオープン、ワールドゲームズ女子ナインボール、そして、女子ナインボール世界選手権と4つの国際大会で優勝を果たし、まさに破竹の勢いで全日本にやって来ていた。
陳との決勝で第1ラックを取った栗林だったが、その後重なる出しミスからのシュートミスや⑨インスクラッチなど第5ラックまでにミスが多発。その後も立て直すことができずにミスを出し、気が付けばカウントは陳に7点ビハインドの1-8。最後ラックとなった第10ラックを陳がマスワって9-1で終了した。
明敏な取り切りを見せるいつもの栗林と比べてしまえば、スクラッチもシュートミスも「らしくない」ミスに見えた。苦しい展開に追い込まれ、それ故の「ミス」だったという見方もできるだろう。今後の課題は、「知識、技術、全てにおいてもっともっと上手くなること」、「陳にリベンジ? そういう考えはありません。相手は関係ないので。」昨年の全日本終了後、栗林は本誌にそう語ってくれた。
昨年8月には夫である栗林達が(株)ジャストドゥイットを退職し、(株)TMYを設立、今年7月には夫婦で『
BILLIARD SPORTS KULICKS』をオープンし、レッスンやビリヤード場の運営に携わる。結婚、子育て、ビリヤード場経営と周囲の環境が変わっても、プロプレイヤーとして常に成果を出し続け、トップ5にランクインし続けている栗林。それは、栗林が「自分の球を撞くのみ」という姿勢を保ち続けてきた賜物だろう。今年の全日本でもそのストイックなプレースタイルは変わらない。相手に惑わされず自分の球に集中する。今年も決勝の舞台まで登攀なるか。
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On the hill!