RANKING #2栗林達
栗林達
シーズンもいよいよクライマックスとなり、選手達にとってはなんとしても取りたいタイトルの開催が明日に迫ってきた。『第51回全日本選手権大会「寬仁親王牌」』日本で唯一のSG1クラスの大会に分類されており、国内のみならず海外からもワールドクラスの選手が多数参戦してくる日本最大の大会だ。そこで今回、『全日本』で活躍が期待されるJPBAランキングトップ5に入っている選手達を紹介していきたい。
今年は念願の北陸オープンタイトルも獲得
2位には2170ptで『褐色の超人』
栗林達が名を連ねている。福井県出身の栗林はアマチュア時代では史上2人目となる名人・球聖を同時期に獲得するなど大きな注目を浴びていた。'05年にプロに転向すると'10年には世界の強豪が集まる『ワールドプールマスターズ』で準優勝、'15年は
大井直幸とペアを組み挑んだ『ワールドカップオブプール』で3位入賞と、海外戦でもその力を存分に発揮している。
今季は『関西オープン』『ハウステンボス九州オープン』『東日本グランプリ第5戦』『北陸オープン』優勝、『東日本グランプリ第1・2戦』準優勝、『アジア選手権』5位タイと、好調なシーズンを送っている。
栗林は昨年、プレイヤーとしてより上にいくために、自らが取締役を務める『(株)TMY』を8月に設立。オリジナル商品の企画・販売やビリヤード場の運営、栗林夫婦によるレッスンなど、今までよりももっと自分自身がビリヤードに専念できるようにと新たな環境に身を置いた。その決断が功を奏したのか昨年のシーズン後半だけで優勝2回、準優勝1回と目に見えて結果が出るようになっている。
5度目の正直で『北陸オープン』初優勝を成し遂げた栗林達
今年に入ってもその勢いは止まらずここまでランキング対象試合で4勝を挙げており、準優勝、3位タイがそれぞれ2回。その他にも7月末から8月第1週にかけて台湾で行われた『アジア選手権』でJPBA勢最高位の5位タイと、国内外問わず高いアベレージの成績を残している。中でも印象的な試合は10月第1週に行われた『北陸オープン』だろう。栗林はこれまで決勝の舞台に4度立ったことがあるがいずれも準優勝に終わり、なかなか出身である北陸で勝てていなかった。準決勝で
土方隼斗に8?6で勝利すると、決勝は『東日本グランプリ第1戦・第2戦』でいずれも決勝で敗れている大井をヒルヒルの末に倒し、リベンジを果たすと共に念願である地元・北陸オープン初優勝を飾った。
過去の『全日本選手権』では'07年の準優勝が最高位となっている。ベスト8で
田中雅明との日本人対決を制すると、準決勝の相手はドイツの
ラルフ・スーケー。「皇帝」という異名で知られ、『ワールドプールマスターズ』通算5度の優勝、'96年には『世界ナインボール選手権』優勝など、数えきれぬ程の実績を持っている世界的名手だ。そのスター選手を相手に栗林は一歩も引き下がることなく、1?1から10?10までなんと10度のタイスコアを経て最後は「大きな声援がプレッシャーではなく勇気に変わった」と語っていたようにナイスショットを連発し逆転で勝利を収めた。
ビリヤード界の「皇帝」ラルフ・スーケーとの試合は会場中を味方に付けての勝利だった
決勝では残念ながら当時台湾(現・中国)の
呉珈慶に敗れてしまったがそれから約10年、自身のビリヤードを見つめ直し環境を変え心機一転、再スタートをした栗林は今まさに脂の乗った良い状態にある。'07年の借りを返すためにもより一層の奮起に期待したい。