30年の歴史を紡いできたジャパンオープン。数々の激闘が繰り広げられ、ビリヤードファンの心を揺さぶり続けてきた。中でも渾身のプレーを続けるトッププレイヤー達によって最も多くのドラマが生み出されてきた舞台がJOのクライマックス、決勝戦だ。CUE'S編集部に残る映像資料から過去3年間の男女決勝戦の最終ラックを振り返っていこう。
2015年の男子決勝は、当時世界ランク4位のカルロ・ビアドとJO初制覇を目指す栗林達の対決となった。
10ボール、9ラック先取の試合は栗林ブレイクノーインからスタート。直後ビアドが挨拶代わりのスーパー縦バンクで1番を沈めてそのまま取り切り。先制点を挙げると次ラックはマスワリ。その後、テーブルコンディションを掴んだビアドと、肩の温まりきらない栗林の差は開くばかり。2-0の第3ラックから第6ラックまで10ボールのコンビイン2回、マスワリ2回という内訳で、6-0まで一気にビアドが走る。
特に第6ラックでは、5番から6番で出しミスするもまたもや縦バンクを決めてのマスワリを見せ、フィリピンナンバーワンの実力を思う存分発揮していた。栗林にチャンスが回って来たのは次の第7ラック。ビアドが6番を穴カタでミスしたところから、初点を挙げて6-1。
次ラック、栗林のブレイクはノーイン。しかしビアドが3番でスクラッチしたところから2度目のチャンスを得た栗林がしっかりと10ボールまで沈めて6-2。そして絶対に外せないブレイク、3度目の正直なるかと思いきやまたもノーイン。これには栗林も顔をしかめていた。ここからビアドが見せ場も作りつつ2連マスを決めて8?2。そしてゲームは最終ラックに突入する......
9-2でビアドの完勝となったゲームはいかにブレイクが大切なのかが体現されていた。栗林は3回のブレイク全てがノーイン、対するビアドはブレイク8回中ノーインは2回。他の6回は取り出しもしっかりと見え、理想的なブレイクだった。
試合後、日本語堪能な同胞のラミル・ガレゴに通訳してもらいインタビューに答えていたビアド
今年のJOにもビアドは出場予定だ。今度は世界ランク1位として戻ってくる。また見応えのあるプレーに期待できそうだ。