マスワリでスタートダッシュ!
CBNTで現在も配信されているJOの過去動画の中から、ビリヤードの面白さが詰まったシーンをピックアップしてお届けしている『動画で見るJO』。
2016年大会では準優勝だった栗林達
昨日は手に汗握る「ヒルヒル戦」の面白さを紹介しましたが、今日はその中でも見られたブレイク後にノーミスで全てのボールをポケットしてポイントを獲得する「マスワリ」にフォーカスしてみました。
『マスワリ』という言葉は日本独自のもので、ビリヤードプレイヤーの間では一般的に使われています。英語で言えば「break and run out」。ナインボールやテンボールではとにかく最後の9番、10番をポケットしたプレイヤーがポイントを取りますが、相手に全く撞かせることなくテーブルをクリーンにしてラックを獲得するマスワリは、ビリヤードの華の一つでもあるプレーです。
2016年のベスト16戦、栗林の相手となったジェフリー・イグナシオ
下で紹介している動画は、2016年の『第29回ジャパンオープン男子テンボール』ベスト16戦、
栗林達vsジェフリー・イグナシオの第1ラック?第4ラック。競技種目はテンボールで、9ラック先取、勝者ブレイクというフォーマットでした。
前日までの厳しい予選ラウンドを勝ち上がり、『ニューピアホール特設会場』でプレーする権利を得た男子16名。いずれ劣らぬトッププレイヤー達が、8台のテーブルで一斉に生き残りをかけた一戦に臨む朝イチの試合です。前年の2015年に惜しくも準優勝だった栗林の対戦相手となったのは、フィリピンのニュースター、難敵のイグナシオ。
朝イチのベスト16戦は一斉ブレイクでスタート
特設会場の1試合目ということで、緊張感が高まっているのはもちろん、身体が思ったように反応して硬くならずにプレーができるか、この日のテーブルコンディションに早めのアジャストができるかも含めて、プレイヤーには大きなプレッシャーが伸し掛かっている状況です。
この後、一時はイグナシオに5-4まで迫られた栗林でしたが、第10ラックでのイグナシオのワンミスを捉えてセーフティからチャンスを得て6-4とすると、そのままポイントを重ねて9-4で勝利。これで勢いに乗った栗林は、この年も一気に決勝まで駆け上がっていきました。
今回は、トッププロならではの淀みないマスワリから、ラックの難所を高い精度のショットで乗り越えたマスワリ、さらに試合の流れを呼び込んだ「持ってる」マスワリまで、トッププロの華麗なスタードダッシュをご覧いただきましたが、次回は今やJO伝説の一つとなっている衝撃の決勝戦を紹介します。