全日本女子プロツアー第3戦@キャノンボール大森
2018年のJPBA女子プロ戦線はここまで、1月の全日本女子プロツアー第1戦に始まり、先月の大阪クイーンズオープンまでで5戦が開催され、河原千尋が2勝、栗林美幸、夕川景子がそれぞれ1勝を挙げている(他1勝はアリソン・フィッシャー)。昨年まで5年連続でJPBA女子MVPを獲得している河原が、今年もシーズン序盤から強さを見せている状況の中、6月10日(日)に東京・大森の『キャノンボール大森店』で決勝トーナメントが行われた全日本女子プロツアー第3戦でも、河原が安定感ある戦いぶりで優勝を飾り、早くも今季3勝目を挙げた。
会場となった『キャノンボール大森店』
全日本女子プロツアー最多となる64名フルエントリーとなった今大会、6月9日(土)の予選を通過した16名による決勝トーナメントは10日の午前10時にスタート。ここで勝って準々決勝に進んだのは、河原を筆頭に、現在ランキング2位の
平口結貴、大阪クイーンズ優勝の栗林を逆転で競り落した
土師理恵子、
藤井寛美、
小西さみあ、
高橋有美子のJPBA勢6名と、関東のトップ女子アマである丸岡文子、佐原弘子の8名となった。
3位タイ・小西さみあ
準々決勝ではまず丸岡との対戦となった河原が、トッププロの貫禄を見せつける形で早々にベスト4進出を決める。平口vs小西の対決は、細かなミスの多かった平口に対して、ダイナミックなブレイクと正確なショットで得点を重ねた小西が7-1で勝利。さらに高橋vs藤井の対戦では、ショートストロークからの正確なシュートと、無理のないショットセレクションが光った高橋が7-2で勝って、全日本女子プロツアーでは自身初のベスト4に進出。最後まで競り合った土師と佐原の試合は、1-6から粘りに粘って大逆転を果たした佐原が勝利した。
3位タイ・佐原弘子
河原vs佐原、小西vs高橋となった準決勝、2戦連続でアマチュアプレイヤーの挑戦を受ける形となった河原は、この試合でも堂々たるプレーぶりで、思い切った判断とショット、それを支えるメンタルともにこの日出色のプレーを見せていた佐原を寄せ付けることなく7-4。小西vs高橋は、高橋が全くブレることなく安定したプレーを続けたのに対して、プロ入り初の決勝進出へ視界良好かに見えていた小西の好調なプレーに綻びが出てしまい、終盤の追い上げも届かず高橋が7-5でフィニッシュ。高橋が見事にプロ初優勝のチャンスを掴んだ。
準優勝・高橋有美子
迎えた決勝戦は、豊富なバリエーションを持った精度の高いショット、最高峰の舞台で培われてきた高い経験値に裏打ちされた状況判断ともに河原が高橋を上回り、最後は流れも引き寄せて7-2でフィニッシュ。まさに横綱相撲で全日本女子プロツアー10勝目を手にした。
この日の決勝トーナメントでは、16名のプレイヤーがそれぞれに自分が持つ武器、特徴を発揮して華麗で熱い戦いを展開した。着実なレベルアップと、試合でその力を発揮して戦いを貫く意志。これが試合でぶつかりあったことで、観客の目にも、シュート力やショットセレクション、メンタルタフネスも含めたプレイヤー達の個性がはっきりと見えていたに違いない。
シーズンも折り返し地点。河原の独走は続くのか
そして、日本女子プレイヤーの中にあって、トーナメントに勝つための全ての要素を、現段階で誰より高いレベルで併せ持っているのが河原であることもまた、改めて明らかとなった大会となった。ただ、今年の国内女子戦線には、河原を標的に牙を研ぎ続ける、タレントと呼べるプレイヤー達が間違いなく増えている。次は7月のジャパンオープン、この戦いはますます見逃せない。