第68回全日本オープンローテーション選手権大会
会場の玉出ビリヤードACE
3月17?18日(土・日)の両日、大阪の『
玉出ビリヤードACE』(予選は大阪市内他店舗併用)において、『第68回全日本オープンローテーション選手権大会』が開催された。今年の特筆はゲーム・フォーマット。61点先取の5(初日は4)ラック先取り。これはフィリピンにおけるスタンダードなタイプだが、ファウル時にフリーボールが与えられるのは、大会ポスターにも謳ったように"新感覚"のもので、「テンボールの7先に近い感じかな?」(決勝日を戦った
井上浩平プロ)といった感想も聞こえてきた。
試合の結果から先に入ると、
杉原匡が
飯間智也とのファイナルで1-4のビハインドから大まくりを決めて優勝。実はこのカード、昨年の『西日本グランプリ』最終戦決勝、今年の『関西オープン』準決勝と半年間で3度目になる。結果は1勝1敗で杉原はいずれも準優勝に終わっていただけに、今回のタイトルは自身12年ぶりの公式戦優勝とあって、喜びもひとしお、といったところ。
ここで杉原の決勝日の足跡をたどると、初戦(ベスト16)では以前に『高井田ビリヤード』に勤務をしていた時の仲間でもあるアマチュアの酒井隼人を5-2で下すと、次戦で
原口敏行、準決勝では
川端聡と西日本プロを連破。
杉原匡
一方、飯間は井上浩平をヒルヒルで、
内垣建一戦では2-4のビハインドからじわじわと捲り、準決勝では本大会過去3度の優勝を誇る
大井直幸に先にリーチをかけられながら逆転勝利と、昨年から見せる粘り強いビリヤードを披露してきた。
飯間智也
また決勝日は、例年通り同所で『第58全日本ローテーションB級選手権大会』も開催された。こちらは回転を追うごとにレベルも高くなり、準決勝ともなると『A級の球』も随所で披露。ここで辻英行と布川明子が、それぞれ小野貴生、尾崎貴司を倒して決勝戦へと駒を進めた。決勝戦は互いに相手の実力を知るだけに、ショートゲームの重圧もあった様子で、双方にミスも出たものの、それでもハイレベルなゲームを展開した末に、辻が嬉しい優勝を決めた。
優勝の辻英行
辻は「運勢にも恵まれて、やっとの思いで優勝することができました。今年でB級は最後にしようと決めていた」ということで、一足早い春を迎えた。実力は十二分。次のステージでも活躍に期待が寄せられる。
B級ベスト4。左から3位タイ小野貴生(ブラボー)、優勝・辻英行(Be-1)、準優勝・布川明子(玉出ACE)、3位タイ・尾崎貴司(藤井寺ハスラー)
そしてオープン級の決勝戦は飯間のペースで進んで4-1でリーチ。しかし試合前に「実はこのテーブルのコンディションは苦手」と話していた飯間が、イメージが合いにくかったか、あと1点が重くのしかかる展開に。ここから杉原がひとつ、またひとつとポイントを重ねて4-4に追いつく。最終ラックは「あれが当たらないとは......」と悔やんだ飯間の6番空クッションファウルからゲームボール(12番)までしっかり取り切って、前述の通り嬉しい優勝を飾った。
オープン級ベスト4。左から3位タイ・川端聡、準優勝・飯間智也、優勝・杉原匡、3位タイ・大井直幸、ベストアマ・酒井隼人
試合終了後にしばしゲームの内容を振り返った杉原と飯間。飯間は敗因を即次戦に活かす様子を強く窺わせていた。杉原も「お店(勤務する『
Billiards & Dars Bar Break』)とお客さん、そして家族のお陰です」と笑顔で感謝の意を述べた後、「年々、自分で上達している自覚、自信はあるけれど、比例するとは限らないのが成績。ビリヤードに熱く居続けることが出来ている状況の中での収穫(優勝)なので、これからも今も気持ちを持ち続けます」と新たな感触を得て、意を新たにした様子だった。
By Akira TAKATA