関東オープン2018
優勝の羅立文とアリソン・フィッシャー
2月25日(日)、東京・六本木の『バグース六本木店』に多数のギャラリーを集めて開催された『第34回関東オープン』(男子・東G3)と『第26回関東レディースオープン』(女子・G3)の決勝トーナメント。JPBAのトップランカーと海外勢、さらに国内トップアマが、11時の試合開始から決勝戦までの間、一時も熱気の冷めることなかった会場の中で、それに相応しいハイレベルな戦いを繰り広げた。
会場となった「バグース六本木」
男子はテンボール(8ラック先取)、女子はナインボール(7ラック先取)が種目となり、それぞれベスト16戦からスタートしたトーナメントを制したのは、男子が2017年JPBA男子ランキング3位の羅立文、女子は実に日本での試合は18年振りとなる世界の女王・アリソン・フィッシャーとなった。
まず
羅立文は、緒戦の小宮鐘之介(アマ)とのゲームで7-5リードから追い付かれヒルヒルとなる苦しい戦いとなったが、最終ラックで勝負に出た小宮が放った1番ジャンプショットが僅かに外れると、ここからきっちりと取り切ってベスト8へ。ここからベスト16で
大井直幸を倒して勝ち上がってきた
津堅翔に8-4で勝利すると、準決勝では、優勝候補の一角だったフィリピンのジェフリー・イグナシオを準々決勝で下した
栗林達と対戦。ここで羅はマスワリ5発、栗林を2点に抑える会心のプレーを見せて決勝に進んだ。
堅実な強さを見せる羅立文
羅と決勝を戦ったのは、ベスト16で
田仲海輝を8-1、準々決勝で
内垣建一を8-2と好調なプレーで抑え、準決勝では鎌田啓之(アマ)に8-5で勝利した
西嶋大策。
西嶋大策
接戦になるかと思われた2人の決勝戦は、序盤から波に乗れない西嶋を相手に、羅が着々とポイントを積み重ねてリードを広げる展開となる。西嶋にも反撃のチャンスはあったが、大事な場面でのミスも響いて羅が8-1でフィニッシュ。プロ入り前の2008年以来10年振りの関東制覇となった。
左からベストアマ・本間俊行(SPA)、3位タイ栗林達、優勝・羅立文、2位・西嶋大策、3位タイ・鎌田啓之アマ
一方の女子は、その姿とプレーを一目見ようというギャラリーの注目を集め続けていたフィッシャーが、「世界の女王」のオーラとプレーを存分に魅せながら、一気に頂点に駆け上がった。
ギャラリーの視線の先は
ベスト16で
藤井寛美、準々決勝で
小西さみあをそれぞれ7-2、7-1と圧倒したフィッシャーは、準決勝で
平口結貴と対戦。このゲームでは序盤から走った平口に1-4とリードを奪われるが、ここから正確無比なショットで平口に1点も与えることなく7-4と逆転勝利で決勝へ。
世界の強さを魅せたA・フィッシャー
もう一方の山から勝ち上がり、フィッシャーと決勝を戦ったのは、2017年JPBA女子年間MVPの河原千尋。ベスト16で
曽根恭子、準々決勝で夕川景子を7-1、7-2で下し強さを見せた河原だったが、準決勝では、この日素晴らしいプレーで勝ち上がってきた佐藤麻子に大苦戦。6-6からゲームボールを渡してしまった河原だったが、佐藤のミスに救われて薄氷の勝利でフィッシャー戦に臨むこととなった。
河原千尋
序盤静かな立ち上がりとなった決勝戦。連戦の疲れを微塵も感じさせず、美しいフォームとストロークで淡々とポケットを重ねていくフィッシャーに対し、河原が徐々に押されていく展開となる。今回の対戦ではショット精度の差がそのままスコアに表れる形となり、7-2でフィッシャーの勝利。予選から決勝までの2日間、全く変わることなくワールドクラスのプレーを完遂した女王が、圧倒的な力で戴冠を果たす結果となった。
左から3位タイ・平口結貴、優勝・アリソン・フィッシャー、2位・河原千尋、3位タイ・佐藤麻子
なお、大会終了後は今大会の表彰式の他、公式戦100勝以上を挙げ、今もなおトッププレイヤーとして日本の女子プロ界を牽引し続ける
梶谷景美に対してJPBAより「特別功労賞」が授与された。