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過去のニュース(2017年)

2017.12.17 

ニッポン女子が乗る上昇気流とは?

CUE'S1月号は『全日本選手権特集』で発売中!

 
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CUE'S1月号表紙 栗林美幸は全日本準優勝


今日はニッポン女子に起こっている喜ばしい変化についてお届けしたい。この関連記事は現在発売中のCUE'S1月号にも掲載されているが、ここではそこで割愛した部分を中心に記したいと思う。

先の『全日本選手権』において、女子の日本勢は最終日(ベスト8)に6人の選手を送り込んだ。この『8分の6』という数字は、一昨年にも出ているが、その前は2002年にまでさかのぼらなければ出てこない記録でもある。また2006年と2009年には「ベスト8全員が外国人選手」だったという事実もあり、出場する海外選手の人数や層によって差は生じたとしても、健闘したと表現してよいだろう。

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5位タイ・土師理恵子


上記の6人に選手権会場でコメントをもらった。そこで共通して感じたことは、『変化』と『進化』だった。例えば『環境』の『変化』を自身の『進化』に結び付けた者、あるいは来年につながるであろう『分析』ができている者、また今回の選手権で『新境地』に達していた者も少なくない。いずれも最終日に残った根拠があり、それが未来へとつながる自分自身を把握すること。つまり次に必要なことが見えていることを窺わせていた。

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5位タイ・新保まり子


相手のプレー中、「心穏やかに自分の出番を待つ」境地を備えた新保まり子に、「湿度の変化に対応力を」身に着けた土師理恵子。「負けたらどうしよう」という思いを払拭できた平口結貴、問題の本質を「試合で練習のように撞けないことでなく、練習を試合のように撞けていない」ことだと仕事を通じて再確認した藤田知枝。そしてルーキーイヤーから「100の力が試合で70に落ちるのなら、200にすれば140の力が出せる」という主張を持ち、それを高いステージでも実践し続ける栗林美幸梶谷景美は今なお弱点を克服する努力を続け、その上で成長し活躍する後輩達のプレーにも目を配る。

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5位タイ・平口結貴


以上は誌面で割愛した要素からの抜粋だが、彼女たちの進化は今なお続いている。そして、今シーズンの国内女子戦線を振り返ると、もっとも如実に表れているのは中堅層の目に見える成長がある。この背景には、今年で5年連続日本ランキング1位という国内女子新記録を樹立する河原千尋の存在も大きく影響を及ぼしている。それは自身にトレーナーをつけて、ビリヤードの勝敗やランキングを単なる結果論に終わらせない『ビリヤード理論』の確立に関わるところだ。

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5位タイ・梶谷景美


この影響を直接的、もしくは間接的に受けている選手の数は多い。今年、その河原に公式戦で勝った経験を持つプロは7人。その詳細等についても、また別の機会に記してみたいと思う。いずれにしても河原という絶対女王が牽引しているニッポン女子界において、河原をはじめとするトップグループの総合力が力を付けていることは現実で、そこに食い込む中堅層もまた強くなっている。この層の躍進こそが、今の日本で起こっている過去最大ともいえる進化の象徴。

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3位タイ・藤田知枝


ここで細部の話を書くことは叶わないが、選手が強くなるには明確な裏付けがあり、それは調子の良し悪しといった要素を排除するほどの決定的な力を持っている。その構成要素は多いが、前出の6名にはそれぞれの核心に迫る確信があり、それらを読み解いていくことは、ビリヤードの真の実力を備えることに直結する。変化を恐れず事実を見つめて成長を続ける層が増殖中。これがニッポン女子の上昇気流の正体だ。現在発売中の誌面にもヒントが散りばめられているので、ぜひ読み取っていただきたい。

Akira TAKATA