西日本グランプリ第6戦@玉出ビリヤードACE
この優勝で今年3勝目となった飯間智也
国内のポケットは飛躍的な進化を続けている。
既報の通り、大井直幸が『USオープン』に参戦し5位タイフィニッシュ。この大会と日程重複のためGPキング不在となったが、台風が近づく10月29日(日)、時おり雨が降る大阪市の『玉出ビリヤードACE』(予選は『SUN』『タツミ』併用)において、『西日本グランプリ第6戦』が開催された。
会場となった『玉出ビリヤードACE』
結論から先に入ると、今シーズンから51期生としてプロ復帰を果たし、北海道オープン、北陸オープンを制して一気にチームジャパンの主役格に躍り出た
飯間智也が、西GPの最終戦も制覇した。前戦の第5戦でも準優勝の戦績を収めていた飯間。「センスと勢いがあった」プロ42期生の頃とは、もはや比較にならないスキルと安定感を身にまとっている。そんな彼を中心に1日を振り返ってみたい。
決勝ラウンド(ベスト16)の抽選が行われたのは午後4時。予選を通過した14名と、前戦優勝シードの
北谷好宏、スポンサー・シードの
児玉利洋の計16名が運命の枠に振り分けられた。いきなり今年のシリーズ第1戦以来となる九州の北谷兄弟(北谷好宏・
北谷英貴)対決や、前出の北海道オープン決勝の再現となった
田中雅明と飯間の対戦など見どころは満載。この回転では北谷好、
和田敏幸、
杉原匡、
竹中寛、
正崎洋行、飯間、
川端聡、児玉が勝ち上がった。今年は中国遠征を経験した児玉、同じくインドネシアへ渡った正崎など、貴重な体験が早くも『強さ』として試合に生かされていると感じさせた。
3位タイ・川端聡
ベスト8で注目を集めたのはその正崎。飯間を相手に4-1と序盤を制して6-3のリーチをかけ、盤石なプレーは初優勝を期待させるものがあったが、今シーズンの飯間は粘り強さも特筆。慎重さと最善を探るジャッジで捲り勝ちを収めた。他の勝ち上がりは和田とのヒルヒル劇場を「まさか」の結末でモノにした北谷好と、竹中を相手にもひるまない逞しさを見せた杉原。そして児玉を相手に先輩のキャリアと貫録を見せた川端。
3位タイ・北谷好宏
準決勝はここまでと変わってスタートダッシュがゲームを決した。杉原は北谷を相手に5-1までリードを奪い、タイムアウトをはさんだ北谷が反撃に出るも及ばず7-3。飯間は4-0まで川端にゲームを渡さず、先行逃げ切り体勢を守って7-2でレフティ対決を制した。続く決勝は2-2まで互角の展開から6-3と飯間がリーチをかける。次ラックの1番でチャンスを得た杉原が1つ返すも、続く11ラック目の取り出しでポジションをミスしてしまい万事休す。残りを慎重に取り切った飯間が7-4のスコアで西GP通算2勝目を飾った。
準優勝・杉原匡
ジュニア時代から高く評価された飯間だが、今の彼にはクレバーなジャッジと強靭な精神力が備わり、MAXポテンシャルが諸刃の剣であった過去の面影はない。『カムバック』より『リニューアル』という印象だ。そんな飯間に今の目標を訪ねると、「世界の舞台に出続ける選手になることです。出続ければいずれ必ず......」と、覚悟を決めた表情で語ってくれた。国内のポケット界は目に見える進化を続けている。そして世界はそれ以上にレベルを高めて、さしずめ『ネオ近代ビリヤード』が展開している。
来月の『全日本選手権』には世界のトップランカーも多数参戦する。飯間にとって世界の入り口となるのか? いや、舞台となるアルカイック・ホールには、飯間に限らず国内のプレイヤーにとって大きなチャンスが待ち受けている。チーム・ジャパンの迎撃態勢に期待を込めて。
※決勝戦の様子は後日
CBNTで配信予定です。どうぞお楽しみに!
Akira TAKATA