第2回京北タッグトーナメント&『LAZY』店主インタビュー
去る7月18日(月・祝)に京都府京丹後市の『LAZY』(予選はDELTA舞鶴店併用)において、
『第2回京北タッグトーナメント』が開催された。今日はその大会の様子や、京都府北部地域の
ビリヤード事情などを交え、さらには地方のビリヤード場の在り方についても触れてみたい。
『海の京都』
京丹後市や舞鶴市といった京都府北部は、京都府が『もうひとつの京都』と地域振興に注力する
エリアのひとつで、『海の京都』というネーミングで観光客誘致に力を入れている自然に恵まれた場所。
日本三景で知られる天橋立もこの中心的役割を果たしており、近年は自動車道の開通もあって、
京都市内はもとより、大阪府や兵庫県、そして福井県や滋賀県からもアクセスの利便性が向上している。
『LAZY』外観
そんな『海の京都』で、京都府ビリヤード協会に加盟しているのは、第1回大会に続いて会場となった前出の会場2店舗。
同協会で現理事長を務める小堀泰次郎氏が「いつも遠路試合に来てくれる人たちに対して何かできることはないか?」と
発案して発足したのが京北タッグトーナメントだ。JPAルールを取り入れたペアマッチで、幅広いレベルの
参加者が楽しめるよう工夫されている点が特徴。今年は計17チーム34名が参加した。
『LAZY』での『京北タッグトーナメント』の様子
細かいハンディ設定があるため、どのチームが勝っても不思議ではない大会。和やかなムードでスムーズに進行して、
夕方には今年のチャンピオンチーム(中村・高橋ペア)が決定した。若い爽やかなペアが優勝したことで、閉会まで明るいムード。
また終了後にも京都市内から遠征したチームと地元のメンバーが親交を深めていたことも印象的で、小堀氏も
「京都府下のビリヤード愛好家の方たちがより交流を深めて京都のビリヤードが盛り上がっていけたら」と
来年以降の開催へも意欲的な姿勢を見せる。
入賞チームの集合写真
優勝した中村・高橋ペア
ここで『地方のビリヤード場』についての話に少し触れておきたい。現在、全国各地で起こっている事象として、
『ビリヤード場が閉店するとプレーする場所がなくなる』という問題がある。都会であれば近隣店舗へ顧客が流れて、
需給バランスが組み直されて結果として良い着地も可能だが、隣の店舗まで数十キロという地方ではビリヤード自体の
死活問題となる。しかし今回の会場2店舗はいずれも良い噂をかねてから耳にしていたし、実際に活発に営業しているという。
そこで急遽、決勝会場の店主である吉岡直樹氏に話を伺ってみた。
以下、吉岡氏へのミニインタビュー。(地方のビリヤード場経営に興味がある方はぜひ)
ーー素敵なお店ですね。いつ、どういったきっかけで始められたのでしょう?
吉岡(以下、吉) 自分がプレーする場所がなくなったので、家業の片手間で「赤字でなければいいかな」という気持ちで9年前にオープンしました。
もちろん当初は人を雇えないので、自分ひとりで。今は店長はじめスタッフがお店をうまくまわしてくれています。
ーー繁盛の秘訣は何でしょう?
吉 秘訣というとおこがましいですが、従業員の接客が一番大切だと思っています。お客様はお金を払って遊びに来られているので、
いかに楽しい時間を過ごしてもらえるか。この一点だけスタッフと共有して、それを実践してくれていると思います。
ーービリヤードも盛り上がっているようですね。
吉 本当に熱い人がたくさんおられて、その要因は他地域との交流だとみています。京都市内や兵庫県、大阪などへは片道で1〜2時間かかるのですが、
お客さんと一緒にハウスなどへ参加すると、交流ができて色んな意味で活性化が起こります。また反対にハウスに来てくれたりもして、ビリヤードを通じて仲間が増えていきます。そして店内でも競争意識が芽生えたりもしますし、とにかく外部との交流は良い効果しかないと思います。もちろんお客さんがいい人ばかりで人間関係がよいことも、皆さんの居心地の良さになっているので、とても感謝しています。
ーーこの大会も盛り上がりに貢献をしていますか?
吉 もちろんです。やはり京都市内から参加して下さることで、新たな交流が芽生えたり刺激を受けたりすることが大きいと感じます。
次に(京都市内へ)大会へ行くときも知り合いが増えているわけですから楽しいですよね。私たち(2店舗)が協会に加盟するときも
「運営などのお役に立てませんが」と参加だけさせてもらったのですが、こうして北部のお店へ配慮をしたイベントを企画してくださることに感謝しています。
ーーなるほどです。ところで(カウンターの)バースペースもいいですね。
吉 うちはバーとして使っていただくお客様もたくさんおられます。夜のお仕事帰りに寄る方もおられて、そういう方がダーツやビリヤードに
興味を持っていただけるのもビリヤード場のメリットかと。京丹後は以前は『丹後ちりめん』で栄えた街で、今でも飲み屋さんは街の規模に対して
多くあって競争も激しい土地なんです。スナックなどでは送迎サービスも当たり前になっていますが、ウチはそうしたサービスまで手がまわらないですが、
皆さんタクシーに乗ってわざわざ遊びに来てくださいます。
ーー他に営業の上でこだわっている点などありましたら。
吉 自分が遊びに行きたいお店にしようということでしょうか? 居心地もそうですし、ドリンクやフードも自分が「食べたい、飲みたい」と望むものを
出せるように。そして自分だったら「ああ、今日は休みか」というのはイヤなので当初から年中無休にしました。おかげさまで出張や旅行のついでに
寄ってくださる方も年々増えています。ウチのお客さんもそうした交流を楽しみにしている人が多いので本当にありがたいことですね。
ーーご自身が遊びに行きたいお店。とてもシンプルで、そして納得の指針ですね。ますますのご活躍をお祈りいたします。
吉 ありがとうございます。次は選手として大きな写真を載せてもらえるよう頑張ります(笑)。
そしてこの日も夜は4台あるテーブルが全部稼働。聞けば週末はほぼ満台になるとのこと。
またプロのチャレンジマッチ等の企画も多く開催されていて、ヤン様(楊清順)、スト様(アール・ストリックランド)をはじめ、
国内外の有名プレイヤーが数多く訪れている。そして常連客の中には車で1時間近く走って通うという人も。
自分が遊びに行きたいお店。そして他地域との交流。
この2つのキーワードは、あなたの地域でも大いに参考になるのではないだろうか?
海の京都。ビリヤードも盛んです。
Akira TAKATA