第45回全日本14-1オープン選手権大会
会場となった池袋『ロサ』。注目を集めているのは羅vs奥村の一戦
5月20〜21日(土・日)、『第45回全日本14-1オープン選手権』が開催された。ナインボールやテンボールのトーナメントがほとんどを占めるプロトーナメントの中では数少ないその他の種目のトーナメント、14-1オープン。この大会ではプロ達の巧さを違った角度から伺うことができる。2日目の決勝トーナメントはベスト16から、100点先取で行われた。
ベスト8進出のナインボール世界チャンピオン、奥村健(JPBF)はなんと今年で65歳
ベスト16に出揃ったのはやはりトッププロの面々。そのうちの6人、
赤狩山幸男、
吉岡正登、
福本宇太郎、
羅立文、
奥村健、
川端聡は過去の14-1オープンの優勝者だ(川端は1992年、アマチュア大会だったときの優勝)。そして福本を除いた6人中5人がベスト8に進出した。その中でも注目が集まったのは羅立文vs奥村健のカード。過去3回優勝している羅、それを上回る4回の優勝経験を誇る奥村(奥村は大会3連覇も記録している)。現役トップとレジェンドの対決に視線が集中する中、試合は中盤まで一進一退の攻防を見せた。しかし要所で奥村のシュートミスが2回続き、結果は100-45で羅の勝利、準決勝に駒を進めた。
準決勝は川端vs大井、吉岡vs羅
準決勝は川端vs
大井直幸、吉岡vs羅の2カード。どちらも最初のバンキングが鍵となる試合となった。隣のテーブルよりも少し早めにスタートした川端、大井の対戦は川端がバンキングに勝ち大井のブレイク。セオリー通りのセーフティブレイクをしたが、手球と的球がやや甘めに残った。そこをきっちりと沈めた川端が53点までランを続ける。川端が54球目にシュートミスをし、テーブル上に残り4球の状態で回ってきた大井だが、その後のブレイクで手球を撞きづらにするミス、それが球触りファールへとつながり再び川端の手番。その後はセーフティを絡めて大井に主導権を渡さず100-1、川端が完勝を収めた。
羅立文は決勝日でのハイラン賞(73点)も獲得した
もう一方の試合でもバンキングに負けた吉岡のセーフティブレイクが甘くなったところを、羅が繋いで行き、5ラック目までノーミスの70点ランを叩き出す。6ラック目のブレイクでシュートミスし、吉岡が反撃を開始したが、途中で手詰まりとなり、セーフティを選択。その後、6イニングに渡るセーフティ戦を制した羅が32点を撞き切り100-13で勝利、こちらの試合もバンキングを制したものが終始リードを保つ展開となった。
決勝戦は川端のブレイクでスタート
迎えた羅vs川端の決勝戦は、オープニングブレイクの残り球を羅が痛恨のシュートミスという、らしからぬ幕開け。テーブル上の球を川端が快調に取り切っていく。しかし2ラック目、16点を取ったところでポジションミス。川端は果敢にコンビネーションバンクを攻めるもシュートミスし、そこから羅がコンビネーションショットや、テクニカルなバンクショットを決めつつ36点ラン。その後も61点のランで試合を優位に進め、99-16まで川端を追い詰める。ここから土俵際でのセーフティー戦となったが、最後は羅が「穴前に寄せていた」5番ボールを空クッションで沈め、奥村健、
高橋邦彦と並ぶ自身4度目の14-1オープン優勝を決めた。
左から3位タイ・大井、準優勝・川端、優勝・羅、3位タイ・吉岡
試合後、羅は4勝目を飾り、「最高に嬉しいです。決勝戦ではテーブルの周りにギャラリーが集まり、湿気でテーブルのコンディションが変わったことに対応しきれず、思うように手球をコントロールできない場面もありました。最後に空クッションを攻めたのは、川端プロにターンを渡してしまうとそこから逆転される可能性があったからです。ゲームボールだったのでここで決めようと思い、あの選択をしました」とにこやかに語った。アジアのトップが大会5勝目をあげるのは時間の問題だろう。
この日の決勝戦の様子は、
CBNTで配信予定になっています。羅立文プロの技巧的ビリヤードをぜひご覧下さい!