第56期名人戦・名人位決定戦
昨年の『名人位決定戦』(会場は埼玉県の『ビリヤードクラブ5&9』)
半世紀を超える歴史を有し、アマチュア最高峰の戦いとして過去にいくつものドラマを見せてきた『名人戦』。ローテーションを種目としたこの大会は、日本アマチュアポケットビリヤード連盟(JAPA)が主催する公式戦の中でも歴史を誇る、多くのトップアマが目標とするタイトル戦の一つとなっている。
名人・小川徳郎(神奈川)
長き予選の末に争われる名人戦のクライマックスにあたるのが、25日(日)に神奈川県横浜市鶴見区の『アロウズ』で行われる『第56期名人位決定戦』だ。この大会では全国各地区で予選、ブロック予選が行われ、ここを勝ち上がった精鋭16名が、現名人・小川徳郎(神奈川)に挑戦する者を決定する『A級戦』が行われ、今年は高知の溝渕一洋が挑戦権を手にした。
挑戦者・溝渕一洋(高知)
つまり25日の名人位決定戦は、昨年の名人戦でその位に就いた小川の「防衛」、または厳しい予選を勝ち上がってきた溝渕による「新名人の誕生」をかけて争われる一戦ということ。前述のローテーションで、1セット300点決着の5セット先取で勝者となるフォーマット。
横断幕とともに応援団が声援をおくる
開催方式としてこの名人位決定戦が特徴的なのは、毎年、名人のホームに挑戦者が乗り込んでの試合となること(『球聖戦』という後発アマチュアメジャータイトルも、これにならって同様の形式を取っている)。当日、それぞれの応援団が会場の壁面に工夫を凝らした横断幕を掲げ、それぞれの陣営にわかれて声援を送るスタイルは、ビリヤードに馴染みのない人々から見れば、想像以上にスポーツそのものだろう。
小川は直近のマスターズでも準優勝を果たした
名人・小川はこのタイトルに限らず、全国タイトルを数々手にしてきたアマチュア界の筆頭格プレイヤーで、プロ公式戦などでも優秀な戦績を残す、文字通り全国区のプレイヤー。直近の大会、マスターズ(名人戦と種目が異なるテンボールで争われる)では決勝で惜しくも敗れたが、ファイナルまで勝ち進んでいた。
A級戦では、喜島をプレーオフの末に競り落とした
対する今回の挑戦者・溝渕はタイトル数や名前の浸透度で言えば、小川にはかなり差をつけられているかもしれない。ただ、A級戦の決勝ではアマチュア界でこの小川と比肩する数少ないプレイヤーであり、前名人の喜島安広(埼玉)を倒し、最強の挑戦者としてその名人位決定戦へ進む権利を勝ち取っている。
会場では、プロ顔負けのハイレベルな攻防が繰り広げられることが予想される。熱戦となることは必至。スタートは25日の11時。