2016アムウェイカップ
河原は自己最高の3位タイでフィニッシュ
国内プールファンに届いた「河原3位」の朗報が、「フィリピンの16歳、大会初V」というニュースによって驚きとともに上書きされた。そんな2016年のアムウェイカップ(2016 Amway 9-Ball Championship)だった。
衝撃的なプレーで世界デビューを果たしたチェスカ・センテノ
今年の会場は台湾・新北市の『板橋体育館』。ごく普通の体育館に、作りこんだTVテーブルスペースとサブテーブル6台を設置した例年通りの特設舞台。世界各地から集まった40名のトップ選手たちがナインボールで覇を競った。
華やかなTVテーブルで数々の熱闘が繰り広げられた
今年は現地予選(ステージ1)を通過した日本選手はなく、本戦(ステージ2)シードを持つ
梶谷景美と
河原千尋の国内2トップだけが参戦。これで全選手中最高の18回連続出場となる梶谷は、グループラウンド1勝3敗で惜しくも決勝トーナメントに進めず。河原は2勝2敗のグループ2位で8年連続の決勝トーナメント行きを決めた。
18年連続出場の梶谷、今回は惜しくもグループラウンドで敗退
大会3日目、河原はベスト24で台湾の柳信美にTVテーブルで辛勝した後、ベスト16で同じく台湾の陳禾耘に危なげなく勝利。最終日(4日目)に入っても好調を維持し、ロシアの新鋭、ナターリャ・セロスタンに圧勝して、自身初の3位以上を確定させた。準決勝の相手は2013年覇者の
ケリー・フィッシャー(イギリス)。この試合は河原の序盤のミスが尾を引き、0-5まで走られてしまう。中盤以降落ち着きを取り戻した河原だが、点差は埋まらないまま4-9で敗戦。3位入賞を自己評価しつつも悔しさも味わった2016年度大会となった。
3位タイ:韓雨(中国)
ファイナルに進んだフィッシャーを待っていたのはステージ1から破竹の快進撃でファイナルまで登ってきたフィリピンの16歳、チェスカ・センテノ。グループラウンドでは
キム・ガヨン(韓国)を、そしてベスト8から林沅君(台湾)、
韓雨(中国)というチャンピオン級を相手に、攻めに攻めて活路を切り開いてきた。
準優勝:ケリー・フィッシャー(イギリス)
フィッシャーとのファイナルは大方の予想通りアグレッシブでスピーディなものとなり、会場をおおいに沸かせる。センテノは1-5という劣勢から、ラッキーなバンク2発もありながら、強烈なシュートセンスで入れ倒し、フィッシャーにプレッシャーをかける。8-8に並んでからもランアウトのスピードが落ちることはなく、一気に11-8まで駆け抜け、大会初優勝を飾った。
このまま世界のトップまで駆け上がるのか? センテノの今後は要注目だ
これまで世界ジュニアやシーゲームスなどで優勝しているセンテノにとって、これが初めての国際メジャータイトル。16歳という年齢とシャープなストロークのサウスポースタイルから、2005年の『男子ナインボール世界選手権』で人々をあっと言わせた呉珈慶(当時台湾の16歳。現中国)を連想する。センテノの優勝がただのラッキーパンチでないことはプレイヤー間の評価の高さからも明らかだが、一発屋ではないことを実証し、呉のような真のスターになるためには、短いスパンで実績を積まなければならない。『チャイナオープン』(8月)でセンテノに世界の目が注がれる。
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