第52回全日本都道府県対抗ポケットビリヤード選手権大会から
埼玉の初制覇はAチーム、Bチーム全員が一丸となって手にしたものだった
先のレポートでお伝えした通り、『第52回全日本都道府県対抗ポケットビリヤード選手権大会』は、埼玉Aチームの悲願の初優勝で幕を下ろした。今日はこの埼玉県チームの談話を交えながら、あらためてチーム一丸となって手にした埼玉の優勝劇と団体戦の空気を振り返ってみたい。
「負けても『ゴメン』と言うのはやめよう。そう約束していたんです」。試合後にそう
語ってくれたのは、埼玉チームの大黒柱である青柳高士。そして「全員が一生懸命やってるし、誰かが負けたら誰かが勝てばいいことだから」と続けた。毎年優勝候補と言われながら、グループリーグをあと一歩で通過できなかった埼玉の歴史が言葉に重みを持たせる。
厳しい試合を戦い抜けるのはチームワークが大きな力となるからこそ
昨年、アマチュア全国大会(現行の6大会)のタイトルコレンクションをコンプリートした、チームの最強戦力である喜島安広は、「過去のどのタイトルよりも今回の優勝が嬉しかった」と明かす。今年、最優秀個人賞を僅差で逃したことに話を向けても、そこは眼中にないといった様子だ。
メンバーもそうでない者も仲間とともに戦う
毎年、埼玉チームは応援団もベストを着用して和歌山入りする。そして会場内で踏ん張るチームメイトを取り囲むようにして大きな声援を送る。背中のロゴデザインが秀逸なこともあり、一際絵になるチームだ。そんな埼玉が遂に「誰が勝つという訳ではなく、皆で勝てたことが何より嬉しい」(青柳)日本一の座についたのだ。メンバー5人、Bチームや応援団、地元で祈った仲間まで、気持ちはひとつだろう。
1人の勝利は全員の勝利。仲間を鼓舞する声援も戦いの一つだ
青柳は「一般のアマチュアの人にもクラブ員になってもらって、この『都道府県対抗』という試合を体験して欲しいです」と話を締めた。自身も個人戦でタイトル奪取を重ねた男が、後進を育て、仲間に助けられ、支え合って悲願を達成した今、アマチュアビリヤード競技者としての偽らざる本心に違いない。
そして用意万端といえば、今秋に愛媛で開催される国体記念大会に向けて、愛媛県ビリヤード連盟(EBA)が中心となり関係者が総力を挙げて準備を整えている。「会場は繁華街に近く、道後温泉へも路面電車で15分で、観光にも便利。松山という四国一の街に、ぜひご家族も同伴で来ていただきたいです」と、全国のビリヤード愛好家に向け力を込めて発信する。
毎年欠かさず出場を続ける愛媛チーム
その愛媛チームは金曜日の夜にフェリーで出発し、早朝に大阪から陸路で和歌山入りしての参戦。これが「時間と予算の両面で最善の策」だという。この大会には「四国の他県が頑張っているので、愛媛も頑張りたい」気持ちで、距離以上に厳しい移動を余儀なくされながらも毎年欠かさず出場を続けている。
都道府県対抗は来年も和歌山開催に向けて準備が始まっている。帰路の途中で来年の作戦を練り始めたチームも少なくないという。用意万端な撞球甲子園は、全国の連盟員にとって年中行事だ。
Akira TAKATA