全日本アマチュアナインボール選手権
大会の華、A級の部を制したのは神奈川の小川徳郎
5月21日〜22日(土・日)、兵庫県の尼崎市にある『あましんアルカイックホール オクト』にて、『全日本アマチュアナインボール選手権』が開催された。文字通り、アマチュアによるナインボール日本一決定戦であり、今年でB級は32回、女子級は17回、最も長いA級で40回という開催を重ねてきた。
会場となった『あましんアルカイックホール オクト』
フォーマットはA級9ゲーム先取、B級7ゲーム先取、女子級6ゲーム先取で、すべて勝者ブレイクのシングル・イリミネーションなのがこの大会の特徴だ。参加者はA級128名、B級128名、女子級64名。女子級は22日のみの開催になるので、6ゲーム先取とはいえ、優勝するためには6連勝しなければいけない計算になる。
今年から兵庫県が大会の後援となり、会場では熊本地震への支援活動も行われた
実力者ひしめくA級は誰にとっても初戦から気を抜けない激戦が続く。昨年覇者の大塚郷司は初戦で千葉の浅香雅人と対戦。序盤で6-0まで走られ、なんとか7-7まで追い上げたもののそこから突き放され、無念の初戦敗退となってしまった。だが、それが目立たないくらい熾烈なサヴァイバル戦が続くのがアマナイン。初日終了時点でA級はベスト16まで絞られたが、この時点で既に誰が勝っても初優勝状態になってしまった。
2日目、今年の準決勝はどちらも神奈川 vs 大阪の対決となる。数々のアマタイトルを誇る小川徳郎は今年の球聖位挑戦者になるなど乗りに乗っている鏡園勝と対戦。6-0まで走られたものの盛り返して2年連続の決勝へ。反対側からはまだ高校生になったばかりの林武志を倒した大阪の小森雅明がアマタイトル戦初決勝の舞台に上がってきた。小森はベスト16で浅香を倒している。
A級ベスト4。左から準優勝・小森雅昭(大阪)、優勝・小川徳郎(神奈川)、3位タイ・林武志(神奈川)、3位タイ・鏡園勝(大阪)
序盤、小川のイージーミスから小森がリードするものの中盤以降は大接戦。小森、8-7と先にリーチをかけることに成功したが、次のラックの3番でスクラッチ。それが最後のショットになってしまった。現名人位でもある小川、完璧なブレイクからマスワリで試合を締めてみせた。昨年は同じヒルヒルで敗れて初優勝を逃していただけに、喜びもまたひとしおだったに違いない。
今年から新しく専用のトロフィーが作られた女子級。昨年の覇者は当時高校生だった平口結貴。この春高校を卒業して、大会連覇を目指した平口だったが、惜しくも3回戦で静岡の宮内愛子に涙を呑む。平口にとっては今大会が最後のアマチュア公式戦。来月には最年少女子プロが誕生する。
女子級の優勝トロフィー
女子級決勝に進んだのは和歌山の松房ゆかりと静岡の和泉早衣子。近年、関西最強の声もよく聞かれる松房だが、まだタイトルはない。対する和泉は12年の東京国体記念大会で優勝を経験している。試合は和泉がリズムよく試合を進め5-1でリーチ。5-2とした第7ラックではゲームボールにまだ辿り着いたが、土手撞きの9番ミスで流れが松房に。松房、1点ずつ差を詰めて遂にヒルヒル。最後はフリーボールから6球を撞き切って初アマチュアタイトルを獲得した。
女子級ベスト4。左から、準優勝・和泉早衣子(静岡)、優勝、松房ゆかり(和歌山)、3位タイ・大塩さゆり(千葉)、3位タイ・宮内愛子(静岡)
B級は沖縄の大島諭と大分の橋本崇史が決勝へ。序盤は大島が3-0、5-2とリードしたものの徐々に橋本が巻き返し7-5で逆転勝ち。決勝前の選手紹介で、「熊本、大分をはじめとした今回の地震で被災したビリヤード仲間のために、あと1勝頑張りたい」と書いた橋本。有言実行、仲間達への最高のプレゼントを届けることに成功だ。
B級ベスト4。左から準優勝・大島諭(沖縄)、優勝・橋本崇史(大分)、3位タイ・杉山功起(岐阜)、3位タイ・今成高文(新潟)
年々選手のプレー内容も上がり、大会の進行自体も円滑になって来ている印象を受ける今大会。A級決勝の『USTREAM』配信は同時視聴者数で1100人を越えるなど、アマチュアプレイヤーの中での注目度もアップしつつあるようだ。一度負けたら即終了だが、特設の大舞台を上り詰めた先は日本一だ。今から来年の熱い戦いが楽しみでならない。
On the hill!