西日本代表の鏡園勝が現球聖・大坪和史への挑戦権を獲得
4月30日の土曜日。五月晴れの広島で『第25期球聖戦 挑戦者決定戦』が、一昨年から球聖位の座に就いている大坪和史のホームである広島県広島市の『みゆきビリヤード』において開催された。今年の挑戦権を懸けてキューを交えたのは、東日本代表の江藤大昇(東京)と西日本代表の鏡園勝(大阪)で、遠方にも関わらず大勢の応援団が広島入りして試合を盛り上げた。
それぞれの応援団に見守られながら挑戦者決定戦がスタート
フォーマットはナインボール7ラック先取(=1セット)の3セット先取り。そして今では本大会の定番となった交互ブレイクだ。序盤は緊張からから両選手にチラホラとミスも出ていたが、先にペースを掴んだのは鏡園。応援幕に記した『手玉のファンタジスタ』のキャッチコピーを肯かせるショットを随所に繰り出して、ファーストセットを7-2のスコアで獲得した。
この日の会場は明るいムードだった。例年、独特の緊張感に包まれるこの舞台だが、両選手とも慎重になり過ぎる気配もなく、応援団もピリピリとした雰囲気はなかった。また2人揃ってプレーリズムがよく、クッションなど技で魅せるシーンも多かったことで、客席全体に高揚感が感じられた。そして鏡園と大応援団は、大阪らしく笑顔率がとびきり高い点も特筆すべきポイントだった。
続く第2セットは、中盤で江藤が走って6-3でリーチをかける。だが、仕上げ切れないところを鏡園が差し込んだ形でフルゲームに突入すると、鏡園が1-9コンビを豪快に決めるもスクラッチ。しかし3番で再度チャンスを得た鏡園が、しっかりランアウトを決めてセットカウント2-0で王手をかけた。
第3セットも両選手は激しく競り合う。そして再び中盤を抜け出した江藤が6-4でリーチ。しかし仲間の大きな拍手をポイントにつなげる鏡園が追撃体勢に入って、前セットと同様にフルゲームの大接戦を制して、翌日(今日)の挑戦権を手中に収めた。開始から3時間少々のスピード決着だった。
惜しくも敗れた江藤だが、応援団と共に力の限り戦った
敗れた江藤は「コンディションに合わせるのに時間がかかってしまった」と敗因を分析。だが、セットカウントはストレートながら、勝負を分けたのは1ラック、1球の僅かなところで、伯仲した実力を示す白熱の好ゲームであった。そして鏡園は更に増え続ける大阪大応援団の声援を受けて、アマチュア界のカリスマ・大坪球聖に挑む。大坪陣営もまた、大坪の防衛を見届けようと広島、山口を中心に続々と駆け付けている。