第66回全日本ローテーション選手権
今年最初の「全日本」を制したのは土方隼斗
土方隼斗(27)がまた優勝した。3月19日〜20日(土・日)に大阪の『玉出ビリヤードACE』(予選は他複数店舗併用)で開かれた『第66回全日本オープンローテーション選手権大会』において、2016年シーズン3戦目にして3勝目を飾ったのだ。彼の公式戦3連勝は、日本ランキング1位の座を射止めた2013年シーズンの公式戦4連勝以来。そんな土方が主役を演じた大会の様子を振り返ってみよう。
決勝会場となった『玉出ビリヤードACE』
昨年までは各地区で予選を行い64名による1日開催としてきた本大会。今年は2日間開催の一般的なオープン戦の形を取り、グレードも「G2」にランクアップした。そして決勝日のベスト16からは360点先取と、近年のローテーションの大会にはなかったロングフォーマットを採択。それでもテンボールなどと沈めるボールの数で比較をすれば、ショートゲームの部類に入るのだろうが、日本のポケット界でもっとも歴史のあるローテーションは奥が深くて見せ場も多い。
3位タイ・竹中寛
総じて東日本勢力が力を見せた大会だった。ベスト16こそ東8、西7、比1という構成だったが、8の段階で東5、西3に。そして準決勝に西日本勢としてただ1人残った
竹中寛も、ここで土方に敗れて終了。なお竹中は175点でハイラン賞を獲得した。一方の山では
浦岡隆志が
羅立文を下して決勝進出を果たしていた。参考までに本大会の過去10年の優勝者をなぞると、西のプロが8回、東のプロ1回、東のアマチュアが1回という記録が残っている。
3位タイ・羅立文
この日ベスト16で竹中に敗れて、その後の土方の様子を見ていた
青木亮二は、決勝戦前に「今日は最強のハヤトも、出来のよくないハヤトも両方を見たので、決勝戦でどっちが出るか」と、土方の出来がファイナルの行方を決めるであろうことをほのめかしていた。そして浦岡が堅実に得点を重ねて序盤をリードして折り返すも、後半でイニシアチブを取り返した土方がリードを保って最終ラックに突入すると、ブレイクで2個沈めてゲームセットに。
準優勝・浦岡隆志
なお同じ会場で開催された『第56回全日本ローテーション選手権B級の部』(20日のみ)では、関西を中心にBクラスのプレイヤーが出場し、技術の高さも然ることながらローテーションゲームに精通した選手も多く見受けられた。そんな中で、準決勝に進んだのは、井上学(吹田中央)、板東秀宜(ツェット)、尾崎貴司(No.1)、伊藤伸一(ピカソ)といずれもSB級的な実力者ばかり。そして勝ち上がった板東と伊藤のファイナルは、1ラック目で90-30のリードを奪った伊藤が、このリードを守り切る形で嬉しいタイトルを獲得した。
B級ベスト4。左から3位タイ・尾崎、優勝・伊藤、準優勝・坂東、3位タイ・井上
公式戦開幕3連勝を飾った土方にマイクを向けると「試合の勝敗は様々な要素があると思いますが、こうして優勝できたことは本当に嬉しいです。そして、オープン戦2勝はランキング1位に向けて大きなアドバンテージを得たと思いますので、皆さまの期待に応えられるよう一層気持ちを引き締めて試合に臨みます」と、自身2度目の日本一を視野に入れたコメントを残した。その表情と仕草には爽やかさと落ち着きを兼ね備え、若き王者の風格を感じさせていた。
土方の勢いが止まらない。次戦で彼を止めるプレイヤーは現れるか
土方が自身のタイ記録公式戦4連勝に挑むのは、4月17日に開かれる『東日本グランプリ第2戦』。またエイトボールでも優勝経験を持つ土方は、公式戦全種目制覇へ残すは14-1ラック1種目のみに。66年という歴史あるトーナメント。今年は日本の若きエースの強さを際立たせる大会となった。そして土方は27歳にして、公式戦で23勝目。タイトル数が年齢に追い付く日も近そうだ。
Akira TAKATA