2015プレーバック・JPBA女子
河原千尋の絶対政権到来。2015年はそんな年だった。今年の河原は、全10戦開かれた国内公式戦において、開幕戦の『関西オープン』を皮切りに、最終戦の『全日本女子プロツアー』まで、ジャパンオープンを含む4度の優勝と全日本選手権を含む2度の準優勝。国際試合でも『女子ナインボール世界選手権』で日本人最高位の4位フィニッシュ。年間ランキングは圧倒的ポイント差をつけての首位で、3年連続5度目の日本ランキング1位に輝いた。彼女が日本のエースであることに微塵の異論も挟ませない本当に素晴らしい戦績だ。
今年公式戦初優勝を飾った青木絵美
一方、残る6つのタイトルを獲ったのは、開催順に青木絵美、
曽根恭子、
栗林美幸、栗林、
野内麻聖美、
キム・ガヨン(韓国)。また、河原を破った選手を紹介しておくと、
山内公子、曽根、栗林、
夕川景子、栗林、キムとなる(開催順)。いずれも納得させられる名前が並んでいる。特に複数回名前が挙がった復調気配の栗林(年間ランキング3位)や曽根(同5位)の今シーズンの活躍は、大きく讃えられるべきものだろう。
今年2勝を挙げた栗林美幸
また夕川は昨年に続いて優勝はなかったものの年間ランキングは4位につけ、これで7年連続トップ5入りを果たし、同時に連続トップ10入りの記録を15に伸ばした。高く評価されるべき鉄人的記録だ。また野内(同6位)は九州レディースオープンの優勝により、3年連続オープン戦優勝を達成している。野内の後ろは
久保田知子、
光岡純子、
高木まき子、
工藤孝代と続いて、以上が2015年のトップテン。このあたりが総じて気配上向きな点が来シーズンを楽しみにさせてくれる。
安定した成績を残し続ける夕川がランキング4位
さて、ここまで名前が挙がらなかったのが
梶谷景美。今年は7年ぶりに優勝がなかった年で、上に並んだ面々に話題の主役を譲った印象も受ける。しかし年間ランキングは河原に次ぐ2位。栗林や曽根が強さを見せた分、それでも終わってみれば上にいた梶谷の凄さを示した年だった。これで日本ランキング(東西統一)が始まった1999年以降、17年間の梶谷の平均ランキングは1.6471位。この鉄人オブ鉄人の話はまた別の機会に。
今年未勝利の梶谷景美だったが、終わってみればランキングは2位
そして河原。前出のメンバーが競り合うハイスピードレースの中で一際の速さを披露した結果の独走首位。今年は男子のプロ公式戦『西日本グランプリ』にも出場して5位タイの戦績を残した。男子プロでもベスト8に入った経験がないプロは大勢いる。ジャパンオープン優勝で終えた夏とは変わって、秋に入ると栗林と夕川に行く手を阻まれた。それでも冷静さを失うことなく、直前の世界選手権で中国、台湾、フィリピンの強豪を続々と倒して全日本選手権に弾みをつけると、期待という重圧を背負いつつ準優勝という結果を残した。
2016年も女子戦線は河原を中心に展開していくだろう
河原の5度目の日本一は、過去のどの年とも比較できないほどに、充実していた。例えるならば、知識と技術がぎっしりと詰まった体に、謙虚さと自信を同時に纏っているような状況だ。独走だった1年を終えて、まだ上昇気配にある日本のエース・河原千尋。直近5年の平均ランキングは1.2位。今年8月、大阪本町にオープンしたビリヤード・カフェバー『un-Seize(アンセーズ)』で、練習の質も上がったという。
2016年のJPBA女子は、彼女を中心に過去最高ペースのレースを展開するに違いない。
※平均ランキング等のデータはビリヤードウォーカーから引用
Akira TAKATA