2015プレーバック・ポケットアマチュア
今年のポケットアマチュア界は、上位陣の強さが際立った年だった。現在、全国タイトルは男子が6つ、女子が4つと数えられている。(およその)開催時期順に、『球聖戦』『全日本アマチュアナインボール選手権大会(アマナイン)』『名人戦』『JAPAマスターズ』『全日本アマチュアビリヤード都道府県選手権大会(国体記念大会)』『全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会(アマローテ)』(名人戦とマスターズは女子も出場出来るが、まだ優勝者は出ていないので男子の大会と位置づけている)。
※アマナインと国体記念大会はNBA主催、他はJAPA主催
喜島安広が史上初のグランドスラム達成
まず、今年最大のニュースは喜島安広(埼玉)がマスターズを制して史上初となるグランドスラム(6大会制覇)を達成したこと。そのファイナルの相手は小川徳郎(神奈川)で、2週間後の名人位決定戦では喜島から名人の椅子を奪い、彼もまたアマチュア4冠の座に就いた。残す2つはアマナインと球聖位だが、アマナインでも今年準優勝しており、さらに団体戦である『全日本都道府県対抗PB選手権大会(都道府県対抗)』でも初出場でエース格が集う5番手で全勝のMVPを受賞しているから、今年のアマMVPは小川に与えるのが妥当ではないだろうか。
名人位を奪取した小川徳郎
そしてアマナイン決勝で小川を下したのが大塚郷司(広島)。彼も全国タイトルこそ初だが、2000年の同大会で準優勝していて、過去にプロの試合で3位入賞ベストアマも複数回。広島といえば、大坪和史が球聖位の防衛達成。彼こそ説明不要のトップアマ。その挑戦者の中野雅之(東京)もご存知の強豪アマで2年連続東日本代表。来年は広島の選手として試合参戦する見込みなので、広島が熱くなりそうだ。
アマナインでは大塚郷司が小川を下して優勝
そして国体記念大会も愛知の島田隆嗣が、大阪の瀬戸山徹との激闘を制して大会2連覇達成。同大会では3年連続のファイナル進出というから、島田もまた"いつもの人"の域だろう。そしてトリを飾るアマローテは、千葉の醍醐雅人が渡邉覚(静岡)を押さえて優勝。これほど屈強有名アマチュア選手の名前が出揃う年も珍しいのではないだろうか。
アマローテA級ベスト3。左から準優勝・渡邊覚、優勝・醍醐雅人、3位・杉本優太
そして女子もまた実力派がタイトルを総ナメした。女流球聖位決定戦は佐原弘子(千葉)vs米田理沙(神奈川)で、佐原が第7期にして4期目の女王の席に座り、米田の4年ぶりの返り咲きは叶わなかった。女流球聖戦といえば、昨年の女子高生挑戦者・平口結貴(北海道)が佐原をギリギリまで追い詰めたゲームが記憶に新しいが、その平口が今年のアマナインではファイナルで佐原を破ってジュニアタイトルを除いては初となる全国タイトルをゲット。
アマナイン女子級決勝では平口結貴(写真左)が初の全国タイトルを獲得
今年の佐原は国体記念大会でも準優勝で、グランドスラム(4冠達成)には惜しくも及ばず。その決勝の相手は米田。これで2人は揃って3冠という状況で、米田はアマローテ、佐原は国体記念大会を残すのみとなった。女子も今年の締めくくりとなったのはアマローテ。こちらは大阪の水野早苗が伊藤いずみ(東京)との激闘を制して、3年ぶり2度目の大会優勝を飾った。
アマローテ女子級ベスト3。左から準優勝・伊藤いずみ、優勝・水野早苗、3位・仲島由美子
なお団体戦である前述の都道府県対抗では、小川を擁する神奈川勢が驚異的な勝率で予選通過を果たしたが、決勝戦は徳島vs兵庫という鳴門海峡対決となり、徳島県が第51回大会にして初めて日本一の座に輝いて、地元に新聞などでも大きく報じられることとなった。また、同大会をはじめ多くの大会を主催するJAPAの関西支部が主催する形で『KANSAI 14-1』という14-1種目の大会も年末に開かれて14-1愛好家が大阪に集った(優勝は広田大輔・大阪、準優勝は堂園雅也・兵庫)。
今年の都道府県対抗は徳島が初V
以上のように2015年のアマチュアポケット界は『タイトルコレクターたちのゴージャスな競演』という状況だった。タイトルの重みも、主催者側の進化や重ねた歴史も手伝って増していて、それに相応しいチャンピオンたちが活躍していたと捉えることも出来る。迎える2016年、勢力図は動くのだろうか?
Akira TAKATA