2015プレーバック・スヌーカー
プレーバックPart2。JPAに次ぐ第2弾はスヌーカー
'15年の国内スヌーカーシーンは、将来の発展を見据えた決意が感じられるポジティブな1年だったと思う。日本スヌーカー連盟(JSA)の1シーズンは「14-15シーズン」と「15-16シーズン」で年を跨ぐため、シーズンごとに分けて振り返っていこう。
スヌーカー界のホープ・神箸渓心は、完全に日本トップレベルに!!
まずは、前半戦「14-15シーズン」。年明け1発目の大会で、スヌーカー界のホープ・神箸渓心(14歳=中学校3年生)が『JSA Championship(G2)』(2月開催)で優勝を果たす。もはや、ポッと出の若手のイメージは完全に過去のものとし、トップ勢として定着したことを印象付けた。
来季はタイのディビジョン1昇格が決まった日本のエース・桑田哲也
やがて迎えた14-15シーズンの総決算、国内最大の大会『第14回全日本スヌーカー選手権(SG1)』。修行先のタイから日本最高級プレイヤー・桑田哲也が参戦し、ぶっちぎりの優勝を決める。技術面ではタイ渡航前から見張るものがあったが、以前より精神的なムラが見られなくなったことが、強さを倍増させた印象。桑田が日本最強を名実ともに手にした大会だったと言っていい。
3季連続のランキングトップ・栗本高雄
全日本スヌーカーをもって、14-15シーズンが終了となり、最終的なランキングは安定感抜群の栗本高雄が3季連続でトップを獲得。近年、全日本や『スヌーカージャパンオープン』の2大トーナメントでは、優勝から遠ざかっているものの、ハイアベレージは健在だった。
全日本選手権トップ4。右から神箸久貴(3位タイ)、桑田哲也(優勝)、神箸渓心(準優勝)、松村浩史(3位タイ)
そして6月、井上敦貴が『第4回全日本6レッドスヌーカー選手権(G1)』で全国大会初戴冠でスタートした15-16シーズン。福田豊が本格的な競技プレイヤーとしてのカムバックすると、早速、JSA Championshipで優勝も果たした。
井上がキャリア10年にして初の全国タイトル奪取
海外戦では神箸が『IBSF U-18世界選手権』(10月・ロシア)で、9位タイに入る活躍を披露。続く11月には、『IBSF世界選手権』(エジプト)でも桑田とともに神箸が躍進する。世界中の猛者が集う中、桑田はグループラウンドを無敗の首位通過(95点のブレイクもマーク)。神箸も、年齢・キャリアでは自分の上を行く選手達の中で、苦戦を強いられながらも突破を決めた。
ともに決勝トーナメントは緒戦で敗れてしまったが、日本のスヌーカーが世界で戦えることを十分に示した(ベスト64で桑田に勝利したアイルランドの選手は、その後ベスト8まで勝ち上がる。神箸はベスト96で敗退)。また、マスターズ部門に参戦した神箸久貴(渓心の父)と原田正博もグループラウンドを突破したが、それぞれ決勝トーナメント1回戦で敗れている。
ジャパニーズドラゴン・福田豊がトーナメントシーンに完全復活
'15年の最後を飾った『第15回スヌーカージャパンオープン(G1)』(12月開催)は、JSAとしても新たな挑戦をした大会だった。業界外から新スポンサーも加わり[サプリメントブランド『ココカラダ』(株式会社コーワーリミテッド、株式会社健人)]、会場をアクセスの良い大型ビリヤード場『ビリヤード・ロサ』(東京・池袋)へ移した(予選は他会場併用)ことが大きな変更点。観戦客も増え、他の来場者からの注目度も高まっていた(観戦は無料)。
タイの一流プレイヤー、ニティワット・カンジャナスリがジャパンオープン参戦
試合は、招待選手として同大会に参加したタイのトッププレイヤー、ニティワット・カンジャナスリ(以下、ナット)が"本物のプレー"を魅せる。一緒にタイから帰国していたエース・桑田もワンランク上のプレーを披露していたが、彼のプレーはさらにその上を行くもの。優勝したナットの一挙手一投足が日本のプレイヤー達にとって、またとない有意義な授業となったことだろう。
長谷修次もコンスタントに上位に付けるようになった
「ショットタイミングが完璧ですね。乱れることがない」、「あんなの見せられたら、火付きますよ」と、気持ちを新たにするコメントも聞かれた。これが日本のプレイヤー達の飛躍の起源となってほしいところ。そして、再びタイでの修行に戻った桑田は、来年からプロリーグのディビジョン1へ昇格し、ナット級のプレイヤー達に揉まれ、更なる飛躍を果たすことだろう。15-16シーズンの後半戦が楽しみだ。
ジャパンオ―プン3位タイ・福田豊、長谷修次(右2人)、優勝・ナット(中央)、準優勝・桑田哲也(左から2番目)
来春に中学校を卒業する神箸渓心は、中国のスヌーカーアカデミーに入学する予定だ。丁俊輝(ディン・ジュンウェイ)の台頭以降、スヌーカーシーンを席巻する勢いの中国で、本格的に競技に励むことになるとのこと。
――日本スヌーカーは、"ココカラダ"!!