第14回JPBAシニアオープン
大会初優勝を果たした道川浩
JPBAシニアオープン。2002年に創設されたこの大会は、50歳以上のCSカード登録者、といういたってシンプルな出場資格を定めた、JPBAが主催するトーナメントだ。大会創設当初は45歳以上を対象としていたことや、昨年から女性選手は年齢を問わず出場できるように決めた点など、要項は少しずつ改良がなされている。服装もジーンズやサンダルを禁止する以外は基本的に自由だ。開催場所は大阪に始まり、現在は『サンク』(京都市)が開催店として定着している。
会場となった『サンク』
この大会は2つの顔を持つ。1つはポケット界の同窓会的要素で、長ければ半世紀を超える、何十年来の仲間と会ってワイワイと楽しむ場という顔。もう1つは、過去に一線級で活躍をしたプレイヤーにとっては、今なお真剣勝負のスイッチが入る対戦機会であるという面。その両面のバランスを保ちながら、真剣勝負と親睦を両立させつつ、今年で14回目を迎えた。歴代優勝者には
江辺公昭(現JPBF)、的野正実、横田武らがそれぞれ2度勝っているほか、第3回大会ではルドルフ・ルアット(フィリピン・アジア選手権者)の名前も残されている。
今年は総勢43名が出場(写真提供:JPBA)
フォーマットは数年前からテンボールの6ゲーム先取という近年の流れに沿った形へと変更。今年は総勢43名(内、アマチュア32名、女子プロ1名)の参加者を迎え、例年以上の参加人数に、再びキューを握るという気運とシニア世代の人口増加という要素が窺える。試合も自然と白熱して、多くの参加者が『ブレイク』『シュート』『疲労』という3つの課題を抱いて真摯にテーブルと向き合った。
3位タイ・浪江隆
さて、試合はスムーズに進行して、夕方の早い時間には決勝シングル(ベスト24)がスタート。そして準決勝まで勝ち上がったのは、枠順に道川浩、浪江隆、
夕川景子、石川淳という顔ぶれに。福井のアマチュア選手である道川以外は、すべて地元京都のプロ選手だ。4人はいずれもこのタイトルを獲った経験はなく、大会初優勝を目指す。参考までに道川が'02年に、浪江は'07年に準優勝の足跡を残している。
3位タイ・夕川景子
ここで道川は大まくりで、石川は再々逆転のシーソーゲームを制して、それぞれ浪江、夕川を下して決勝戦進出を決めた。ファイナルは道川のマスワリでスタートするも、ここから石川が巧さを見せて5ラックを連取して一気にリーチをかけた。ここでゲームは決まったかに見えたが、反撃に転じた道川もまたベテランの技を随所に出しつつジワジワと追い上げて、遂にゲームはヒルヒルに突入。最終ラックは、3番のサイドバンクを皮切りにランを決めた道川がゲームボールにたどり着き、第1回大会以来となる13年ぶりのファイナル進出で、見事に優勝を飾った(第1回大会の優勝者は江辺公昭=現JPBF)。
準優勝・石川淳
こうしてエキサイティングな決勝戦で幕を下ろした今大会。運営に当たった斎藤健悟JPBA西日本ブロック長は、「非常に多くのアマチュア選手にご参加いただき、大会を盛り上げて下さったことに厚く御礼を申し上げます。来年はさらに良い大会とすべく、色々な企画も行いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」と御礼の言葉を交えつつ更に盛り上げてゆく意欲を言葉にした。
今はまだ出場資格を持たない方も、いずれは対象となるこの大会。それぞれが出場する頃、どのような進化を遂げているのかも楽しみだ(大会フォトギャラリーは
コチラ)。
資料参考:
ビリヤードウォーカー
Akira TAKATA