今年で名古屋での『アマローテ』開催は10年となった
『第63回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会(アマローテ)』の結果は先日お伝えした通りだが、実は今年でアマローテが会場を名古屋へ遷してちょうど10年になる。それ以前は京都市の特設会場で9年、その前は名古屋市内のビリヤード場、さらに前年は富山県といった具合に、その時々の事情に応じて舞台は変わってきた歴史がある。
そして、この63年という歴史を持つ大会の歴代優勝者(A級の部)を調べてみると、大会が創設された1953年から京都と大阪の選手がタイトルを独占。第20回大会で初めて京阪以外の地域(広島)にトロフィーが動いたという記録が残されていた。その後、京阪に東京が加わるも、ほぼ『京都と大阪、ときどき東京』という図式は続き、第40回大会(1992年)にして、初めて北海道へトロフィーが渡った。
その時点でまだ京都、大阪、東京、愛知、そして北海道と5道府県からしか優勝者は出ていなかったのだから、今考えるとずいぶん偏っていたことが見てとれる。その後は福井、兵庫、神奈川、鳥取からもチャンピオンが誕生し、直近10年に限ると、京都、大阪、広島、東京から優勝者が1人も出ておらず、大きく勢力図が動いたことが確認できる。
そんな10年間を振り返ると、埼玉、静岡、愛知、神奈川が2度ずつチャンピオンを輩出。残る2回は1度が奈良で、そして今年の醍醐雅人(千葉)の優勝が、本大会63年の歴史の中で初めて千葉県勢として制覇した格好だ。(※女子級は昨年に佐原弘子が優勝)
京都と大阪で産声を上げた日本のポケットビリヤードは、長い間にわたってローテーションしかなかった。後に他地域に広がり、種目もナインボールやテンボールが主流となった。ローテーションはルール自体も改良が重ねられて、昔のルールは今では笑い話になるほどに、合理化とともに姿を変えている。
「どこの選手が勝ってもおかしくない」。アマチュアポケットビリヤード界でこの言葉が使われて久しい。だが、今年も会場で試合を見ていると、それが全体のレベルアップがもたらした結果であることは明白であった。またスポーツマンシップという点でも(他のスポーツと同様に)、やはり大きな成長を遂げてきたと感じる。
ただし、(A級の部に限ってだが)今回の記事中に出ていない県は、まだこの大会で優勝者が誕生していない。つまり35もの県が『まだアマローテ(A級)チャンピオンを出していない』のだ。これにはあらためて驚いたし、もしかすると『どこの選手が』の『どこ』とは、『約40県(京阪を含む)を除く』と解釈しても当てはまるのかもしれない。
ちなみに京都は2005年の中野雅之選手以来、大阪は1999年の鶴谷信之選手以来、優勝から遠ざかっているだけでなく、ファイナリストにも名が入っていない。このあたり、別の角度からあらためて調べて掘り下げて検証してみたい。