第63回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会
各級優勝者。左からA級・醍醐雅人(千葉)、女子級・水野早苗(大阪)、B級・浦崎太一(大阪)
10月31日(土)、11月1日(日)の両日、『名東スポーツセンター』(名古屋市)において、『第63回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会』が開催された。この大会は昭和28年創設という歴史を持つ、日本アマチュアポケットビリヤード連盟(JAPA)が主催するトーナメントだ。30台のポケットテーブルを整然と並べ、内1台は照明機材を設置したテレビテーブル仕様となっている。
『名東スポーツセンター』には304名のアマプレイヤーが集結した
今年も特設を目指して、全国からA級、B級、女子級の3部門で計304人の代表選手が出場。特にA級や女子級では、タイトルホルダーや全国大会の上位常連選手などが多数集まり、初日から激戦が繰り広げられた。そしてローテーション(A級は180点、B級女子級は120点先取)で、完全ダブル・イリミネーションという現在の国内で唯一のフォーマットで、参加者たちはたっぷりと特設ステージでの撞き味を堪能した様子だった。
TVテーブルでは注目のゲームが数多く戦われた
右を見ても左を見ても強豪選手ばかり。そんなA級の2日目で桁違いの勢いを見せたのは千葉の醍醐雅人だった。「母親から『たまにはしっかり勝ってきなさい』とハッパをかけられて来た」という醍醐は、初日に勝者側で勝ち続けた勢いをさらに加速させ、勝者側ベスト4では千葉の先輩である寄井田幸美を36点に、勝者ファイナルでは石川の杉本優太を13点と、ワンサイドゲームを展開。さらに久しぶりの全国大会にも関わらず、圧倒的存在感を見せつける渡邊覚(静岡)との決勝戦でも、ダイナミックなランを重ねる展開で11点に抑えて優勝を決めた。
A級ベスト3。左から準優勝・渡邊、優勝・醍醐、3位・杉本
特設慣れしたスターが集まる女子級は、8名に絞り込まれた時点で、残るタイトルホルダーは2人のみで、いずれも本大会で優勝を果たしている水野早苗(大阪)と中村美由紀(京都)。そして勝者側から東京の伊藤いずみが抜きん出た安定感を披露して、京都の西優子と前出の水野を連破して決勝戦へ。水野が敗者側で大阪の仲島由美子を下して決勝戦へたどり着くと、伊藤が先行する展開を終盤で捉えて水野がプレーオフに持ち込む。すると今度も走る伊藤を捕まえる展開で水野が勝利を収めて、3年ぶり2度目の本大会制覇を果たした。
女子級ベスト3。左から準優勝・伊藤、優勝・水野、3位・仲島
B級の部では、小中学生からベテランの選手まで新旧のパワーが爽やかに激突。そんな中で、初日から抜きん出た勢いで圧倒するゲームを披露していた浦崎太一(大阪)が、2日目もリズムよくランを重ねた。結局、ラスト3試合の失点合計が96点という強さで押し切って、2日間負けなしの8連勝を飾って全国タイトルを手中に収めた。
B級ベスト3。左から準優勝・浅野曜平(大阪)、優勝・浦崎、3位・森丈司(徳島)
こうして、各クラスそれぞれ強い気持ちと練習で培ったスキルを兼ね備えたプレイヤーが今年も入賞を果たし、閉会と同時にまた1つ大会に年輪を加えた。今年はA級の部で見せたドラマが、特に視聴率を集めていたことが印象的。敗れた後は応援にまわる同郷のチーム。今回は神奈川、千葉、そして北陸と、年々大きくなる歓声や拍手も大会を盛り上げる結果につながっていたと窺える。と同時に、課題やモチベーションを掴み取って、誰もが自身の糧としていたに違いない。「来年は自分が」。そう真剣に思うから同志。来年もまたライバルという仲間とともに特設へ。
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Akira TAKATA