西日本グランプリ第4戦
稲川雄一、プロ入り初優勝!
10月18日(日)に京都の『サンク』(予選は他複数店舗併用)で開催された『西日本グランプリ(西GP)』第4戦は、稲川雄一が決勝戦で佐藤正行を下して、プロ公式戦初優勝を飾って幕を下ろした。エントリー総数は87名(内、アマチュア32名)で、今回は河原千尋、夕川景子、谷山和子、藤田知枝の4名の女子プロ選手と地元京都から1名の女子アマ選手もテンボールに挑戦した。
会場は京都府京都市の『サンク』
西GP前戦(第3戦)に続いてベスト16の決勝ラウンドに駒を進めた稲川は、地元京都の松尾武司との試合を7-2で制して先の東海グランプリ以来となるベスト8進出を果たす。ここで同じく地元京都の田中雅明とキューを交え、チャンスを常に得点につなげる安定感を披露して、自身公式戦初となる準決勝への切符を手中に収めた。
大本命、大井直幸は準決勝で稲川に敗れる
この舞台に登場した4名は、枠順に大井直幸、稲川、吉岡正登、佐藤という面々。これを見た前出の藤田が「大井プロが最年長ということに驚きと感動を覚えます」とポツリ。確かに準決勝で大井が最年長というのは、これまで記憶にない話。ここで稲川は2-5まで大井にリードを許しながらも、後半を見事なプレーで巻き返して5連取に成功。ゲームボールを沈めた稲川に対して拍手を贈った後に、満面の笑顔で握手を求めた大井の清々しさもまた印象的だった。
吉岡正登は第1戦以来の決勝戦まであと一歩届かず、3位タイ
また吉岡と佐藤の一戦は、4-2、6-3とリードをキープした佐藤がリードを守り切り、今年の北海道オープン以来となる決勝戦進出を決めた。田中、大井を破った稲川が大きな金星ゲットなら、竹中寛と吉岡を連破した佐藤もまた誇れる足跡。こうして32歳の稲川と27歳の佐藤のファイナルは稲川のブレイクでスタートした。
佐藤正行、今年2度目のファイナル進出
ファーストブレイクでスクラッチを喫した稲川に対して、佐藤はファーストショットでセーフティを仕掛け、「スリーファウルも見えたので、自分として最善の策を」と稲川は2手先を読み故意ファウルで応戦。しかし「想定内だった」としながらもスリーファウルで先取点を献上してしまった。だが「自分ができることをやるのみ」と決意していた稲川がブレることはなかった。
7連取で初優勝を決めた稲川雄一
淡々と、かつしっかりと。そんな言葉がぴったりな稲川のプレーに、ウォッチャーからも「リズムがいいけど、撞き急ぐことはしない」と高く評する声が集まる。結局、大井戦で見せた安定感はファイナルでも揺らぐことはなく、気がつけば7連取を決めてゲームセット。この上ない笑顔で喜びを表した稲川。そして「悔しいです」の言葉とともに新たな決意を瞳で語った佐藤。まだ彼らの伝説は序章の域。
そして、佐藤のみならず、稲川の初優勝劇に刺激を受けたプロも多数いたと窺えた。シーズンの終盤に吹いた新しい風は、来シーズンを面白くさせてくれることだろう。なお稲川の初優勝の報と前後して稲川の身内の訃報も入っており、ここで謹んでお悔やみを申し上げて、稲川のコメント等の紹介記事はタイミングをあらためさせていただくこととしたい。
Akira TAKATA