第29回北陸オープンは明日開幕
来年には30回大会を迎える北陸オープン。過去28度の歴代優勝者を見ても、誰一人"番狂わせ"的な要素が見当たらない、真の実力者達が名を刻んできたトーナメントだ。ちなみに最多優勝は高橋邦彦の5回で、それを1勝差で追うのが大井直幸。その大井は過去5年の北陸では、優勝3回、準優勝1回、5位タイ1回。そんな驚異的な強さを示している。
昨年は大井直幸がファイナルで羅立文を下して3度目の北陸制覇
そんな北陸オープンの歴史の中で、不思議と優勝がないプロが何人かいる。2006年アジア大会金メダリストの
川端聡や、2011年ナインボール世界王者である
赤狩山幸男、2010年ワールドプールマスターズ準優勝の
栗林達や、オープン戦を獲り尽くした
土方隼斗もまだ不思議と北陸制覇は遂げていない。とはいえ、この4名は揃ってファイナル進出経験はあるので、その点はさすがと言うべきだろうが。
遠征帰りの栗林達も地元北陸で大会初優勝を狙う
またジャパンオープンをはじめほとんどのオープン戦において、アマチュア選手の優勝というのが過去に1度くらいはあるものだが、北陸はプロがその牙城を守り続けている。フィリピンの選手が4度、台湾の選手が2度(
柯秉逸が2連覇を達成)優勝した以外は、常にJPBAの一線級で活躍するプロが優勝を果たしてきた。この舞台はプロの矜持を示す舞台だと表現してもよいだろう。
女子ナインボールでは野内麻聖美が曽根恭子を下して「G2」タイトルを初獲得
一方、来年で20度目の開催となる女子もまた、トッププロが共演してきた歴史を持つ。そして
梶谷景美が男子の高橋と同様、2度の2連覇を含む5度の優勝を誇り、こちらは独走体勢となっている。また2010年から2013年の4年間にわたって台湾レディースが北陸タイトルを独占リレーしたが、昨年は台湾勢を自らの手で止めた
野内麻聖美と
曽根恭子の2人がファイナルを戦って5年ぶりのタイトル奪還に成功した。
河原千尋はジャパンオープン以来となる優勝を狙う
この北陸オープンを前に、国内ランキングレースでは、大井直幸と河原千尋がそれぞれ頭ひとつ抜け出した状況にいる。しかし、この北陸で優勝ポイントを稼いでおけば、全日本選手権の結果次第で逆転首位に立ちうるプレイヤーは少なくない。女子の場合は今月末に『九州レディースオープン』が3年ぶりに開かれることが決まっており、さらに大きく順位が入れ替わる可能性を有している。
女子予選、男女決勝の舞台は『グランドホテル白山』特設会場
最後にもう一度。この大会は真の実力者達が歴代優勝者に名を刻んできた大会。そこに名を残すべく日本中からプロたちが集まる至高のトーナメントが北陸オープンだ。プロの矜持、しかと見届けていただきたい。
Akira TAKATA