2015男子ナインボール世界選手権
結論から先に述べると、日本勢最後の砦、赤狩山幸男は、大会6日目に行われたベスト32で敗退。今年の日本勢の世界選手権チャレンジは終了した。
ベスト32の赤狩山の相手は台湾の柯秉中
赤狩山は大会6日目の2回転目のセッションで、台湾の次世代を担う若手、柯秉中と対戦。台湾トップの柯秉逸の弟である。柯の2度の1番ミスを足がかりに先行したのは赤狩山。中盤は互いのブレイク番をキープする展開に。第15ゲーム、柯がマスワリで8-7と逆転に成功。赤狩山もそこからマスワリと取り切りで再逆転したのだが(9-8)、最後の3ラックは赤狩山にセーフティとシュートのミスが出てしまい、柯に3点の追加を許す格好となってしまった(9-11)。ステージ1から続いた赤狩山の長い旅はここで終わった。
赤狩山、ステージ1から戦い抜いて今年は17位タイ
その後、会場ではベスト16、ベスト8とラウンドが進んでいき、徐々にお馴染みのトッププレイヤーたちの名前が浮かび上がってきた。衝撃的だったのは、ベスト16のデニス・オルコロvsダレン・アプルトン戦。まるで練習のようにスパスパとランアウトの山を築いていたオルコロ。そのスタイルは、2012年世界チャンピオンのアプルトンと対峙しても変わらず、早撞きにあおられたアプルトンが完全に集中を切らしてしまった。アプルトンは最後、なんでもない2番を豪快に外してすぐさま「OK」。11-2でオルコロが勝利した。
オルコロはアプルトンを破るも5位タイで終了
しかし、そのオルコロ、ベスト8ではアメリカNo.1のシェーン・バン・ボーニングと対戦して、今度は逆にいいようにあしらわれてしまったところが面白い(11-1)。センターテーブルはバン・ボーニングのランアウト劇場と化し、表面上は集中が切れたようには見えなかったが、ツキに見放されたかのようなオルコロの姿は完全に1時間前のアプルトンのそれとダブる。このレベルになると何ゲーム先取であっても、ほんの小さなきっかけや展開のあやで大きなスコア差になってしまう。だからこそ、ナインボールはスリリングでドラマティックでもあるのだが......。
ベスト8の他の3カードの結果を記すと、レフティー対決となった呉珈慶(中国)vsアロイシス・ヤップ(シンガポール)は、終盤に経験の差が出たか、呉が終始安定したプレーで11-7で勝利。柯秉中は、ポーランドの無名の若手、ヴォイチェフ・シェフチェクを中盤で突き放して11-5。その柯の兄、柯秉逸は、同い年(26歳)のカナダのトップ選手、ジョン・モラを同じく中盤で突き放した。
バン・ボーニングはセミファイナルへ進出
こうして、最終日の準決勝のカードは、柯秉逸vs呉、柯秉中vsバン・ボーニング。2005年度大会優勝の呉が2勝目を飾るのか、他の3名のうちの誰かが初優勝を遂げるのか。遂に2015世界選手権も残すこところあと一日だ。
最後に一つ裏話を。本大会を主管するカタール協会の上層部は、ベスト16の選手全員にお揃いのポロシャツを着用させる予定だったのだという。しかし、ほぼ全ての選手が、スポンサーや所属企業のネームロゴが入った自前の服を着ているし、そもそも公式サイトでの告示や選手への通達はなかった。トーナメントディレクターの藤間一男氏は、断固としてこれを認めず、着衣は「そのまま」に。ただし、選手は可能な限り、大会公式用品スポンサーになっている企業のステッカーを張るということで事態の収束を計った。
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