2015男子ナインボール世界選手権・グループラウンド
夜の海、または海の底を思わせるアリーナだ。ブルーグレーのカーペットに、ブルークロスを張った白いテーブルが13台浮かび上がる。戸外の灼熱の乾いた大地との視覚的ギャップはかなり大きい。気温のギャップもまた大きい。テーブルコンディションを整えるためもあって強烈にエアコンが効いていて、上着なしではいられない。
日本時間の9月12日の18時、『アル・アラビ・スポーツクラブ』(カタール・ドーハ)で今年の『男子ナインボール世界選手権』が始まった。まずは4日間でグループラウンドを行う。128名が8名×16組に別れて、ダブルイリミネーションで競い合い、各組から4名を選抜する。フォーマットはナインボール9ゲーム先取・交互ブレイク。
ステージ1突破の赤狩山は初戦に勝利
日本から出場しているのは、度々お伝えしている通り、
大井直幸、
栗林達、
川端聡、
赤狩山幸男という4名(JPBA)。2011年の世界チャンピオン、赤狩山幸男は現地予選(ステージ1)を勝ち抜いて自力で出場権を得ての参戦。それ以外の3名はシード権を持っていた。4名は大会初日に初戦を戦い終えた。
川端も接戦を制してまずは1勝
川端はアメリカのハンター・ロンバードとのレフティー対決となり、接戦を演じるも、終盤に突き放して9-6。栗林は中国を代表する若手、王灿と対戦。先行する相手に食らいついていたのだが、最後のひと伸びが足りなかった(6-9)。赤狩山はスペインの若手、サンチェス・ルイス・フランシスコと対決。赤狩山がピリッとせず、相手に先にリーチをかけられてしまったが、再逆転で勝利を手にした(9-8)。そして、国内No.1の大井は、欧州トップの
ニック・バンデンバーグ(オランダ)と対戦。劣勢を跳ね返して中盤以降で見せたリズミカルなランアウトは「さすが」の一言。9-5で難敵を撃破。
強敵バンデンバーグを倒した大井も決勝トーナメントまであと1勝
大会2日目は栗林だけ試合があった。敗者1回戦、その相手はカタール代表として『全日本選手権』にも出場したことのあるモハマド・アリ。はっきり言えば、栗林が明らかに「格上」なのだが、本人もそう思ってしまうからこそプレッシャーが増大し、歯車が狂ってくる。相手のナイスランアウトもあって、栗林が先にリーチをかけられてしまう展開に。しかし、正真正銘のラストチャンスを活かして、取り切りからのマスワリ。かろうじて逆転勝利を飾った(9-8)。
初戦に敗れた栗林だが、敗者側から決勝トーナメント入りを目指す
これで日本の4名全員が「1勝」を挙げた。勝者側にいる大井、川端、赤狩山の3名は大会3日目(14日)に試合があり、勝てばグループラウンド突破(ベスト64進出)が決まる。相手は大井がカナダのトム・テリオルト、川端がオーストリアのアルビン・オーシャン、赤狩山が台湾の楊清順。いずれも楽しみなカードばかりだ。敗者ゾーンにいる栗林の試合は大会4日目(15日)に予定されている。相手はまだ決まっていないが、恐らく中東勢だろう。
昨年王者のニールス・フェイエンも好発進
さすがは世界選手権。日本勢以外の試合も非常に面白く、13台同時進行なのがもったいないほどだ。ディフェンディングチャンピオンの
ニールス・フェイエン(オランダ)は、初戦でステージ1上がりの強豪、フランシスコ・フェリシルダ(フィリピン)を一蹴したが、現役最強説もある
ダレン・アプルトン(イングランド)が、世界ジュニアチャンピオン、アロイシス・ヤップ(シンガポール)に5-9で敗れ、
張榮麟(台湾)と
ラルフ・スーケー(ドイツ)が初戦でヒルヒルの大熱戦を演じて、スーケーが9-8で勝ち......と、始まったばかりなのに見所が多すぎてしまう。昨年同様、『Kozoom』による「高画質・全台・無料」のライブストリーミング配信も行われているので、ぜひ視聴をおすすめしたい。そして、日本から9000km離れた砂の大地で戦っている日本勢にエールを。
【男子ナインボール世界選手権 LIVE】
4名の日本代表に熱い応援を!
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