APA National Team Championship
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休みなく熱戦が続く会場ではエイトボールの部が始まった
先日からアメリカのラスベガスで開催されている『APAナショナルチームチャンピオンシップ』は、ナインボールの準々決勝を終えたタイミングでエイトボールの部がスタートした。既にCUE'Sのfacebookでもお伝えした通り、ナインボールの部では、神奈川の『King Mid』(ミッドナイト)が日本勢として過去最高位となる5位タイという足跡を残した。
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『King Mid』は会場内の特設ステージで準々決勝を戦った
スキルレベル3〜7という中堅層で構成するKing Midは、全員が揃って舞台に臆すことなく落ち着いた様子で、一戦一戦を着実に制したという印象。また対戦相手も、遠い日本から遠征をしてきたチームと対戦をしたことに喜びを感じてくれたケースが多かったようで、終了後はほとんどが笑顔で記念写真を撮り、中には次の試合の応援に駆け付けてくれたチームもあったそうだ。
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惜しくも敗れたが見事日本チーム最高位となる5位タイとなった
スキルレベルの制約があるチーム戦において『最強』の編成はできないが、今回の個性派が揃うKing Midは最良形のひとつを戦績で示した格好となった。そしてもっとも参加人数が多くメインイベント的存在でもあるエイトボールもスタート。日本からは『Four Dimensions』(ミスタースポーツマン学芸大店)が参加し、1回戦は序盤リードを奪いつつ、ギリギリのところで相手に軍配が上がった。しかしナインボールと同様に2回戦までは敗者ゾーンが設けられているので、ここから一戦一戦を楽しみつつ頂上を狙うことだろう。
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エイトボールの部では『Four Dimensions』の戦いがスタート
さて、特派員は初のラスベガスにして初NTC取材に入ったが、そこで見たもの感じたものを簡単に。まずプレーレベルについては、テーブルが7フィートということで取り方のパターンに違いはあっても、特に日本が劣るということはなく、むしろ丁寧な点など上回る要素が多数。ただしプレー速度については、アメリカは平均してかなり速いので、それを見習うべきであろうという一面と、時に勢いで逃げてしまうという点については反面教師としてとらえておきたいと感じた。
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大会は全てこの7フィートテーブルが使用されている
そして何より驚いたのは、とにかく集まっている人間の種類をカテゴリで括ることができないという点。田舎の農場や牧場にいそうな人もいれば、町のバーで知り会ったであろう若者。貴婦人的なマダムがいれば、バイクで走ってきたと思わせるライダーな人たちの姿も。何よりビリヤードのスキルもまちまちで、日本に比べるとスキル9や8といった上級者が少なく、キャリアが長くて経験も豊富であろうスキル2、3、4あたりの人が多いように見えた。
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ビリヤードが文化として根付くアメリカ。あらゆる層が大会をエンジョイしている
それでも悪質なスキル詐称といったケースは皆無で、実際にそれを防止するために専任の記録員が熱心にメモを取りながら試合を見ていたことも少し驚きだった。そして、結局はどのチームにも勝つ要素があり、同様に負ける可能性があり、どんな結果に終わろうとも予選を通過してラスベガスの地に立った誇りは想像以上に大きいのだということ。さらに言うなら、取り組み方やスタイルは違っても、結局はビリヤードが楽しくて、上手い人もそうでない人も、ただ夢中になって白い球を撞いて、その結果に一喜一憂して仲間と泣いたり笑ったり。
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1回戦に敗れた『Four Dimensions』だが戦いはまだこれから
NTCという夢のようなステージは、とんでもなく大きなスケールで開かれているトーナメントだけど、ビリヤードの魅力をカタチにしたモデルケースの一つなのだと気付かされる。ビリヤードのパワー、恐るべし。まずはエイトボールの日本チームの躍進を祈りつつ、現地の体感レポート続編もまた近々。
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2015 APA NTC Day4(8ball)
2015 APA NTC Day4(9ball)
Akira TAKATA