第15回ニッカオープン
初めてのニッカタイトルを手にした小林英明
東京・五反田『ニッカ』の店内に何年も前からかかげられ、インテリアの一部になっている一葉の写真がある。代表を務める真野正光のポートレートだ。銘文は「第1回ニッカオープン 1999年3月」。真野が第1回大会で優勝した記念に、常連客のプロフォトグラファーが撮ったものだという。
『ニッカ』に飾られている真野プロのポートレート
その後、毎年開催されていた本大会だが、2013年と2014年は真野の脚の怪我のためお休みとなる。そして、8月8日(土)、ニッカはひさびさに立錐の余地もないほど多くの観戦客で満たされていた。ニッカオープン、3年ぶりの復活。フォーマットは25点先取、30名のシングルトーナメント。この短い試合方式が影響したのか、見応えある対戦ばかりとなった。
会場となった東京・五反田の『ニッカ』
まずはなんといっても、真野の試合だろう。「試合勘を取り戻すため、7月の『全関東』に出ていた」という真野は、ベスト16の
宮下崇生戦の序盤からシャープなプレーを披露。ホームテーブルの利があったというだけでは説明できないほどの落ち着きと軽妙なリズム感で、
森雄介、
島田暁夫をも呑んでいき、やんやの喝采を受けながらファイナルへと歩を進める。
準決勝で真野に敗れた島田暁夫は3位タイ
反対の山からは
小林英明が駆け上って来た。小林は、
市川利夫、
竹島欧に勝ってベスト8に入ると、本大会4連覇がかかっていた
梅田竜二と対戦。ここを逆転勝ちで切り抜けた小林は、徐々に状態を上げ、セミ・ファイナルでは9点ランも絡めて
奥村健を退けた。奥村はこの日、
江辺公昭、
界敦康、
船木耕司らを倒して、プロランキングポイント対象試合では初めての4強進出だった。
奥村健が初のベスト4入り
こうして、ファイナルは真野vs小林というカードに。無論、小林にとってはアウェーゲームとなったのだが、その状況がむしろ小林を開き直らせて、無我の境地を引き出した。「真野さん、すごく良い内容とリズムだったじゃないですか。それに引っ張られて僕も入り込めました」(小林)。9イニング目で技ありの12点ランが飛び出した時、大勢は決したと言ってよいだろう。13キュー・25-10で小林の勝利。小林は初めてのニッカタイトル獲得である。
観客からの熱い声援に応えた真野が準優勝
決勝戦で敗れたとはいえ、"ニッカの顔"真野の奮闘は実に見事で、これほど開催店が沸きっぱなしになっていた試合もなかなか思い出せない。第15回大会は真野本人とニッカオープンの復活を強く印象付けるものとなった。来年以降も末永い継続を期待したい(大会結果は
コチラから)。
大会ベスト8。左から5位タイ・森、5位タイ・梅田、3位タイ・島田、優勝・小林、準優勝・真野、3位タイ・奥村、5位タイ・船木、5位タイ・町田
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