第6回東日本Tokyoテンボール
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大会史上に残るハイレベルな決勝戦を制した喜島
8月最初の日曜日は、いかにも「真夏」な酷暑。熱波に包まれた渋谷『CUE』では、ハイクラスアマ達による熱きテンボールバトルが繰り広げられた。夏の風物詩として定着しつつある『第6回東日本Tokyoテンボール』である。今年は関東各地から86名が集結。5ゲーム先取の交互ブレイクという短めでスリリングなフォーマットで競い合った。
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会場は東京・渋谷の『CUE』
本大会は第3回まではナインボールで行われていた。2013年にテンボールに切り替わり、増渕享士(Mag)、波佐間慶太(アロウズ)というチャンピオンを生んでいる。今年、その歴代覇者2名はそれぞれ、高橋政章、喜島安広・現名人というSPA勢にベスト16で阻まれる。また、4名が参加していた女子プレイヤーの中では、丸岡文子(アロウズ)が奮闘。ベスト8進出まであとわずかというところで橋本洋平(ライジングサン)に敗れた。
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3位タイ・高橋政章
四強に駒を進めたのは、先述の高橋と喜島、そして、ナインボール時代の第2回大会で優勝している小川徳郎と、西東京のトップアマ、金子洋行(ハスラー大塚)という面々。ここから「1点アップ」の6ゲーム先取で行われたが、力のある4名だけあって、試合進行は変わらずスムーズなまま。SPA対決の喜島vs高橋戦は、持ち前の爆発力で喜島が4-0まで先行して主導権を握る。高橋も3点を返したが、先輩に土をつけることはできなかった(喜島6-3高橋)。もう一方の小川vs金子戦は、序盤は互いにミスもあったが、中盤以降は小川がいつもの抑制の効いたボールコントロールでランアウトを重ね、6-2で金子を下した。
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3位タイ・金子洋行
ファイナルは喜島安広vs小川徳郎。競馬で言うなら馬連の一番人気だろうか。互いに力量を認め合う仲であり、公式戦で度々実現しているカードだが、今春の『東日本神奈川テンボール』の準決勝など、ここ最近は小川が勝っている。今回は互いに挨拶代わりのマスワリを決めて発進。その後、両者ともミスらしいシュートミスはなく、ブレイクやセーフティ返しの出来不出来で1点の行方が決まるという、プロもかくやというパフォーマンスが展開された。5-4で先にリーチをかけたのは小川。しかし、喜島は難所だらけの配置を取り切ってヒルヒル(5-5)に追い付くと、最後はきっちりマスワリで逆転勝ちを収めた(6-5)。この試合は大会史上に残る名勝負と言えるだろう。
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準優勝・小川徳郎
「ファイナルで小川選手に勝てたというのはかなり嬉しい。今日は全体的によく撞けたと思いますし、ファイナルの終盤は今年一番入り込んで撞けました」(喜島)
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喜島にとっては名人戦へ弾みが付く優勝となった
来月下旬には『名人位決定戦』を控えている現名人の喜島。その実力はやはり国内アマ屈指のものであり、今日の内容を観る限り、付け入る余地は小さい。来週の『名人戦A級戦』で決定する「挑戦者」が誰であれ、喜島から名人を奪取するのはかなりの難事業になるはずだ。
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