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過去のニュース(2015年)

2015.07.26 トーナメント

西高東低の男子、東高西低の女子

JAPA・前半戦総括

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アマチュア前半戦のハイライトとなった『都道府県対抗戦』。今年は48チーム、240名が出場した


国内アマチュアポケットの1年は『球聖戦』から始まる。『全日本ポケットビリヤードUSナインボール大会』という大会が2011年の第23回大会で開催終了となり、それまでの7大全国大会を6大大会と数えなおし、そして『球聖戦』は今年で24期を迎えたので、全日本ポケットビリヤードUSナインボール大会の開催年数を超えることとなった。ちなみに「全日本ポケットビリヤードUSナインボール大会ってどんな試合だったっけ?」という方のために説明しておきますと、この大会の通称は『スポレク』でした。

球聖戦は過去にプロ転向でタイトル返上したケースが5度。順に名前を挙げると、高橋邦彦、矢野裕一、福本宇太郎、西嶋大策、そして栗林達。この豪華なメンバーが球聖位というタイトルの重みに寄与するトッププロだとすれば、その後の10年はプロ転向した球聖がおらず、豪華な『トップアマ』たちがタイトルを懸けて激闘を繰り返してきた。この間の最長の球聖位保持記録は喜島安広の4期(2010〜2013)。

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現在は名人位を保持。9月に防衛戦を控える喜島安広


この喜島を含めて、"返上"をしない以上は防衛を果たせず失冠して球聖位から離れることとなる。そんな中で昨年、第23期にして初めての"返り咲き"球聖が誕生した。広島の大坪和史で、失冠から5年での見事な返り咲き。そして今年の4月。2年連続で東日本代表となった中野雅之の挑戦を退けて防衛を果たした。名人・球聖の両タイトルを通じて大坪は初防衛で、これが連続防衛記録への第1歩と見る声も多い。

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5月に初防衛を果たした現球聖位の大坪和史


一方、今年で7期目を迎えた、球聖戦の女子版である『女流球聖戦』は今年"も"防衛。第2期で久保田知子(大阪)がプロ転向のためタイトル返上し、第3期を米田理沙(神奈川)が獲った後、4期以降を君臨し続けるアマチュア界の女王・佐原弘子(千葉)が、実に3度目となる米田理沙との決定戦を制して、自身が持つ女流球聖位在位記録を4に更新した。このように男子球聖戦トロフィーが広島に居場所を固めつつあるのに対して、女流のカップは千葉で根を張り、深く伸ばしめぐらせる状況だ。

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女流球聖位決定戦は3度目となる佐原弘子(写真左)と米田理沙の対戦に


そして5月末には"撞球甲子園"と呼ばれる『全日本都道府県対抗ポケットビリヤード選手権対抗』が過去最大となる37台のテーブルを並べて開催。出場チーム数も過去最多の48をマークして、全国のアマチュア連盟員たちが親交を深める場としても機能していた。 そして徳島県チームが9年ぶり2度目の決勝戦進出を果たし、兵庫県チームを接戦の末に下して初優勝を飾った。四国勢の優勝は2005年の香川以来10年ぶり2度目。そしてハイラン賞は新潟の有坂英一が、そしてMVPは最終節で昨年MVPの和田敏幸(愛知A)とただ2人の全勝対決を制した小川徳郎(神奈川A)が獲得した。なおグループリーグでは小川を擁する神奈川チームが頭2個突出する独走劇を見せていた。小川の注目度は極めて高い。

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今年の都道府県対抗は徳島が初V


その翌週には『全日本アマチュアナインボール選手権大会』が兵庫で開催され、A級の部は大阪出身で現在は広島で球聖位が店長を務める店に所属する大塚郷司が神奈川の小川に劇的な逆転を果たして初優勝を決めた。B級は石川の坪野浩之が千葉の佐渡山敬幸を破って戴冠。そして女子の部では、北海道のスーパー女子高生・平口結貴がアマ女王・佐原に競り勝って初となる全国タイトルを獲得した。ちなみにこの大会は『アマナイン』と呼ばれ、それ以外の呼び方をする人に出会ったことがありません。いや、ビリヤードに限らず大会の正式名称を口にすることは少ないものです。

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アマナインでは平口結貴が初の全国タイトルを奪取


このように、今年のアマチュアポケット界の前半は、男子は西日本が、女子は東日本が、それぞれ圧倒的な優勢を示している。後半戦もこの傾向が続くのか否か、しっかりと見届けていただきたい。この後のスケジュールをまとめておこう。

現在進行中の『第55期名人戦』(決定戦は9月に埼玉)
第16回マスターズ(9月に大阪)
第13回全国アマチュアビリヤード都道府県選手権大会(国体記念大会・10月に岩手) ※
第63回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会(全日本アマローテ・11月に愛知)※
※印は女子の部も開催

今年の後半はさらに盛り上がることだろう。アマチュア選手にとって全国タイトルを獲るチャンスは男子で6回、女子で4回。それを何個もコレクションのように集めるプレイヤーがいることに、今さらながら畏敬の念を抱かずにいられない。

Akira TAKATA