第43回全日本14-1オープン選手権大会
左から3位・土方隼斗、優勝・羅立文、2位・竹中寛、3位・照屋勝司
5月23日(土)、24日(日)の2日間に渡って『第43回全日本14-1オープン選手権大会』が開催された。過酷な予選日を勝ち抜いた16名の面々をみると当然ながら羅立文、大井直幸、土方隼斗などのJPBAトッププロの名前が並ぶ。しかしその中で過去優勝4度を誇る奥村健(現JPBF)とその他にもアマチュア3名がベスト16入りを果たした。特に、奥村は予選日で15.00という全選手中トップのアベレージを叩き出している。いずれにしても、勝ち上がったのは試合巧者ばかりの印象だ。
予選をトップのアベレージで勝ち抜いた奥村健
その決勝日は東京・池袋の『ビリヤード・ロサ』を舞台にして100点ゲームのシングル・イリミネーションで行われた。過去に優勝2度を誇り、自身も最も好きな競技として14-1を挙げる羅が、持ち前のシュート力・ポジション力に加えて14-1に対する知識の深さも武器として、杉原匡、大井、そして奥村にベスト8で勝利を収めた照屋勝司と次々に破り、決勝戦まで勝ち上がった。
羅に敗れた大井は『第27回北海道オープン』、『西日本グランプリ第2戦』、『西日本グランプリ第3戦』と3連勝中で、13年の土方以来となる公式戦4連続優勝へと挑む大会であったが、惜しくもそれには届かなかった。しかしながら、現在の国内では飛び抜けた存在感を放っていることには相違なく、年内にこの記録に再び挑む機会も来るかもしれない。
一昨年にもファイナル進出を果たしている竹中寛
もう一方の山から登ってきたのは竹中寛。竹中は前名人位で6月からのプロ入りを表明している愛知の和田敏幸アマをベスト16で破ると、原口俊行、そして予選で奥村に続く13.85のアベレージを記録していた土方を下しての決勝戦進出だ。
両者の巧みなプレーが続出するゲームだった
3度目の優勝を狙う「精密機械」と、準優勝となった一昨年のリベンジに燃える「サムライ」の対戦となった決勝戦は羅のセーフティブレイクからスタート。序盤は巧みなセーフティ戦が繰り広げられ、中盤からお互いに大きなランも飛び出しながら、試合は終盤戦に入っていった。
羅が22点のランを重ねた後にでまさかのスクラッチを犯した第11イニング。スコアは76-69と僅かにリードを許した竹中は残りの31点を撞き切らんと気迫溢れるショットを幾つも繰り出した。7点のランを重ねて同スコアと並んだところ、竹中は直接シュートにいける的球が無くなったが、そこから「死に球」を見付けたのか、強いショットで残りのクラスタを大きく割ったが、惜しくも見当ははずれ、そこでランは途切れた。
最後は24点のランで羅が大会3度目の優勝を果たした
その的球が大きく散らされた配置をもらった羅。そこから緻密なビリヤードで見事に残りの24点を撞き切り、100-76のスコアで見事に羅が痺れるファイナルを制した。
この、限られた強者達だけが優勝を手にすることのできる全日本14-1選手権の舞台に、3度目の栄冠を羅が果たした。優勝直後の喜びの声もぜひ聞いてほしい。