行ったことはないけれど、店名は何となく馴染み深い。ビリヤード愛好家にとって、
そんなビリヤード場がありますよね。東京だと渋谷の『CUE』、池袋の『ロサ』、そして『バグース』各店など、試合やイベントの会場として何度も耳にしているお店が。
これが大阪であれば『高井田ビリヤード』、『マグ・スミノエ』、『玉出ビリヤードACE』といったところでしょう。仮に足を運んだことはなくても、名前を知っていて、どことなく親近感を覚える存在になっていることと思います。そんな関西を代表する大型店のひとつである高井田ビリヤードが4月12日(日)を最後に閉店されました。CUE'Sの取材においても非常にお世話になり感謝いたしております。
同店はボウリングやカラオケ、パチンコなどが入る総合レジャービルの2階にポケットテーブル(ブランズウィック)16台を並べるお店。専属で働く杉原匡プロ(JPBA)やビリヤードが大好きなスタッフたちの力によって、競技志向の選手が育つ環境にありながらレジャーとして楽しむ層も上手く受け入れるホールとして、大勢のお客さんを迎え入れてこられました。
またここ数年は試合会場としても場所を提供し、関西圏におけるメイン会場のひとつとして知られる存在でした。ビリヤード場と同じフロアにあるカフェスペースで提供される飲食メニューも好評で、試合の待ち時間をゆっくり過ごせることでも人気のお店。さらにJRと地下鉄の駅前(上)という超のつく好立地で、大型の無料駐車場を備えていたことでも多くの試合参加者が助けられてきました。
そんな高井田ビリヤードですが、ビルの売却が決まり、他のフロアと同様に一律の撤退を余儀なくされることとなりました。営業最終日は『アマナイン大阪予選』の日で、B級の試合会場となった同店では、出場選手たちが真剣勝負を繰り広げて、有終の美を飾ることに。最後まで整ったコンディションでプレイヤーを支えていました。
そして終了後は常連客とスタッフによる極々身内のお別れ会的な催しも行われ、誰もが抱いている寂しい想いは胸の中へ仕舞って、照れくさい言葉を無理して口にすることもなく、ただただ笑顔で思い出話やビリヤード談義に花を咲かせていました。個性を抑えることもなく、過度な仲間意識を強要するでもなく、排他的な力が働くわけでもなく、ただ自然と適度な距離感が保たれているその素敵な仲間。そんな姿を見ていると、うらやましくもあり、あらためてビリヤードが人と人をつないでいるということを再認識した次第です。
プレイヤー達にとって高井田ビリヤードは単にプレーする場所だけではなかった
ありがとう、高井田ビリヤード。お店という空間とはサヨナラをしても、きっと仲間同士の付き合いは続くことでしょう。そしてこの記事を読まれた方で、「最近、顔を出してないな」とか「あのお店の人たちはどうしているかな?」と思われた方は、ぜひ足を運んでみてください。