2015 AMWAY eSpring International Women 9-Ball Championship
大声援をバックに地元で2度目の優勝を遂げた林沅君
'08年から7年の歳月を経て、"女殺手"復活! 今年で17回目を数えたアムウェイは2年連続の地元優勝で幕を閉じた。ここ3年間のアムウェイは、周婕妤(台湾)、ケリー・フィッシャー(イギリス)、ジャスミン・オーシャン(オーストリア)の3強が戦いの中心にいた。しかし今年はその3人全てがベスト4に進めないという、ある意味"異常事態"が起きていた。
3位タイ:アンジェリン・チコア(インドネシア)
混戦に導いたのは2人の新星、インドネシアのアンジェリン・チコアと中国の劉昱辰。32歳のアンジェリンはもう10年近くインドネシアのトップ選手として国際大会に出続けているが、アムウェイはこれまで2度本戦に出ていずれもグループラウンド敗退と結果を出していなかった。それが、昨年9ボール世界選手権5位タイに続き、今回はグループラウンドで
付小芳(中国)と
呉芷婷(台湾)を倒してシングル入り。そこから中国の
陳思明、
劉莎莎を倒し、ベスト8では再び付小芳を破る快進撃でベスト4入りを果たした。
3位タイ:劉昱辰(中国)
かたや昨年のジュニア世界チャンピオン、17歳になったばかりの劉昱辰も、ステージ1から快進撃を続け、ベスト8では大先輩の
潘暁婷を撃破。スヌーカースタンスからの入れの精度は、これからの大活躍を予感させるのに十分だ。
しかし、新顔が簡単に決勝に進めるほどアムウェイは甘くない。アンジェリンは昨年3位タイ、現テンボール世界チャンピオンの
ルビレン・アミット(フィリピン)に完敗し、劉昱辰はヒルヒルの激闘の末、林沅君のマスワリ上がりで引導を渡された。林沅君が勝った'08年、アムウェイはまだ女子9ボール世界選手権の冠が付いており、アミットが決勝に進んだ'07年の優勝は潘暁婷であった。
準優勝:ルビレン・アミット(フィリピン)
世界タイトルを獲った2人による11ゲーム先取の決勝はアミットが2-0と先行するも、林が逆転に成功してから2点離れない接戦が続く。会場の空気はあからさまではないものの、明らかに地元の林優勝を望むムードの中、試合は終盤へと向かっていく。10-9、林のブレイクで迎えた第20ラック、取り出しが見えると、僅差にも関わらず会場は林の優勝が決まったかのようなムード。さすがにアミットもこれはキツかったか。林が取り出し1番をミスするも、アミットも決して難球ではなかった3番をとばしてしまう。テーブルはオープン。林、キッチリと取り切って、キューを高々とさし上げて見せた。
ヨーロッパ、中国とも違う強さを持つ台湾のエースが復活
柳信美に続く2人目の台湾女子世界チャンピオンになり、次世代のエースと目されていた林沅君。しかし、急速に力を付けた周婕妤が09年のアムウェイに勝って以降、今回までなかなか結果を出せない日々が続いていた。しかし今年は一念発起、練習をしっかり積んで今大会に臨んだのだという。実際、台湾男子トップにひけを取らない、女子とは思えない素晴らしいショットは'06~'08年頃を彷彿させた。"機械的な"とも言える中国勢トップ、スヌーカー色の強い両フィッシャーなどとは明らかに違う球撞きが林にはできる。やはり、才能のポテンシャルが違うのだ。大エースの復活が示した台湾ビリヤードの底力。今年の海外女子は面白くなりそうだ。
ヨーロッパ、中国とも違う強さを持つ台湾のエースが復活
On the hill!