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過去のニュース(2015年)

2015.04.06 トーナメント

東高西低とライバルと靴

第7期女流球聖位決定戦

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昨日お伝えした通り、『第7期女流球聖位決定戦』は千葉の佐原弘子が3度目の防衛を果たして、自身が持つ女流球聖位在位記録を3から4へと更新した。昨秋にもアマローテで優勝を果たしている彼女は、もはやアマチュア界で敵なしと呼んで差支えない域。その佐原に対する最有力対抗馬が挑戦者の米田理沙(神奈川)と書いても、現時点で誰も口を挟むことができないだろう。

昨日の閉会式では開催店の支配人、そして主催の日本アマチュアPB連盟理事長と、2人とも揃って挨拶の中で「西日本の奮闘に期待する」という旨を挟んだ。というのも、本大会では第1〜2期女流球聖の久保田知子がプロ転向して以来、5度にわたる東西決戦のすべてを東日本勢が勝利を収めている状況がある。しかも、得セット数では16-3という驚く数字が残されている。

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米田の横断幕


このように東日本勢が躍進する中で、佐原が4期女流球聖位の座を守っていることも素晴らしいことだが、米田が頻繁に『東日本代表』として登場していることに驚く声も多い。実際、金曜日に『マグスミノエ』を訪れた佐原は、記者との雑談の中で「(米田が)あれだけA級戦で勝ち抜けることは、防衛するよりも難しいんじゃないか」という旨の言葉を発した。確かに、過去6度出場して米田は4回通過を果たしている。

これを米田の強さと見て取って間違いはないのだが、ナインボールというゲームの性質を考えると、東日本で3回に2回優勝するのは奇跡的な数字で、むしろ佐原とのライバル関係が互いを引き寄せ合った結果なのではないだろうか。米田が今大会の応援幕コピーに『待たせたな。』とシンプルに入れたのは、幾多もの意味が込められているというが、語調からしてもライバルの佐原に向けた色がもっとも濃いと感じた。

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そんな東日本のライバル決戦も、本大会の決定戦では実に3度目となる。そして佐原が3連勝。昨日の試合の休憩時間に「(米田が)勝ったらさあ、ちゃんと『靴のお陰です』ってインタビューで言うんだよ」と佐原が声をかけたシーンがあった。長い1日をかけてビッグタイトルを獲り合う、そんな試合の対戦相手との会話とは思えないほどに、穏やかな談笑の中で。聞けば靴は佐原が米田にプレゼントしたものなのだとか。

互いに認めた分だけ、他の誰よりも負けたくない相手。まさにライバルという存在。最近の米田は高いモチベーションで良質な練習に取り組んでいるという情報もあり、今後の2人が織りなすドラマは一段と面白くなることだろう。ただし、昨日はゲームボールがポケットに吸い込まれてから、握手を交わすまでに12秒という記録的な長さをかけることとなった。前日の挑戦者決定戦が3秒以内だったので、やはり相当長い時間だ。

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幾度も対戦してきた2人、来年も引き合うか


ただ、それも2人が引き寄せ合う"何か"が起こしたアクシデントだったのかもしれない。いずれにしても再戦の前に、舌鋒鋭い米田がどんな言葉でジャブを打ち出すのか、今の興味がそこに注がれる。そんな結末を迎えた第4セットは、アマチュア連盟の協力を得てCBNTでも実況解説入りのマルチカメラ映像でお届けする予定なので、ぜひご期待いただきたい。

Akira TAKATA

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