全日本女子プロツアー第1戦
プロ7年目の青木絵美が嬉しい公式戦初優勝
3月28日〜29日(土・日)に京都市の『プールブロウ』(予選は『ViVi』併用)で開催された『全日本女子プロツアー第1戦』は、選手達を歓迎するかのようにタイミングよく咲いた桜にも見守られ、盛況の中で久しぶりとなる初優勝者を誕生させて幕を下ろした。
ゲームは予選が7ゲーム先取のダブル・イリミネーション、ベスト16からの決勝日は7ゲーム先取のシングル・イリミネーションで行われた。
決勝会場となった『プールブロウ』
昨シーズンの本シリーズは計3戦開催されて、その全てで
河原千尋が優勝。また他のオープン戦も河原や
栗林美幸、そして
梶谷景美、
野内麻聖美といった上位陣がタイトルを独占し、固まりつつある上位体形はしばらく不動のものと見られていた。
そして今回の初日も、
夕川景子が敗者側に回ったことを除けば、ほぼ順当な予選通過を果たしていたように見られていた。ただし昨年ランキング5位の野内や、昨年10位で今年の開幕戦『関西オープン』準優勝だった
久保田知子、そして同じく10位の
高木まき子が揃って予選で姿を消していて、このあたりに"波乱"の始まりはあったのかもしれない。
準優勝・光岡純子
決勝日はベスト16からスタート。地元京都を中心にギャラリーも多く訪れて、女子プロツアーの注目度の高さを示す。そしてやはり京都在住の夕川と光岡への声援拍手はひときわのもの。またアマチュア選手も東西実力派の2人(丸岡文子、水野早苗)が残り、結局
佐藤千晶がベスト16、ベスト8と連続で両選手と対戦しプロの貫録を見せる格好に。結果、ベスト8入賞を果たした水野がベストアマ賞を獲得した。
ベストアマ賞の水野早苗
そして大きな波乱を見せたのは上位陣。昨年ツアー3戦全戦制圧した河原は
山内公子に、昨シーズンオープン戦2勝の栗林は
林紀代に、そして女王・梶谷は
青木絵美に、それぞれ初戦のベスト16で敗れて早々に姿を消した。そんな中で光る活躍を見せたのが期待を背負って奮闘する夕川と光岡で、2人は準決勝で対戦し、この時点で地元勢の決勝進出を確定させた。ゲームは光岡が5連取のあと夕川も5連取を返すというイニシアチブの奪い合いの末、最後は光岡が再び主導権を握って決勝進出を決めた。
3位タイ・佐藤千晶
もうひとつの山からは前出の佐藤と青木が準決勝で対峙。互いにプロ公式戦で準決勝進出は2度目というフレッシュなカードで、ここは青木が高いゲーム支配率を示して先輩の貫録を示した。こうしてファイナルはホーム開催で大応援団が見守る光岡と、初の決勝進出も飄々とした様子の青木の対戦に。光岡は出産育児のための休会から復帰後の約2年間で初の決勝戦で、プロ入り後通算10回目のファイナルとなる。
3位タイ・夕川景子
初のファイナルでも堂々と自分のプレーを貫く青木が5-2とリードを奪ってゲームを折り返す。ここから光岡も技術力の高さを披露する取り切りを重ねて5-5まで追い付いたが、この勝負際でも冷静な青木がセーフティから主導権を奪い返すと、取り切り、そしてマスワリと、自らの手で初優勝を決めた。「一言を」と求めると「今はまだ実感がわきません」。そんな素直な一言を残してニューヒロインは横浜への帰路を急いだ。
決勝戦ではホームの光岡を相手に冷静かつ堂々たる戦いを見せた
ポケットの国内女子プロ界には、初優勝を狙う層が何人もひしめき合っている。その多くは長い年月をじっと耐えて階段を一段ずつ登ってきた。ここで初優勝レースの中では中段にいたと思われたプロ7年目の青木が決めたことで、このグループはいっそう熱くなる予感。次の舞台は5月に開催予定の『大阪クイーンズオープン』。新旧入り混じる意地とプライドの激突が今から楽しみだ。
Akira TAKATA