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過去のニュース(2015年)

2015.03.19 プレイヤー

稀代の撞球職人、不惑の再始動

Player Pick Up 田中雅明

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玉のみやこ・京都が生んだ撞球職人、田中雅明。彼は色々な意味で稀代なプレイヤーだ。田中のプレースタイルを形容する『手球のアーティスト』というフレーズは、手球を操る巧さだけでなく、独創性が高く妥協を許さないショットへのコダワリも含められている。球体特有の複雑な要素の絡み合い。それを柔らかいタッチで緻密にコントロールする様は、やはり芸術という言葉がふさわしいだろう。

アマチュア時代からそんな独自路線を歩んできた田中だが、自身のショット以外のことには無頓着だ。試合のルールやフォーマット、さらには種目に関してもほとんどコダワリは見せず受け入れる。またテーブルコンディションなどに対しても柔軟に対応する。「すべては自分のショット次第」。そんな境地なのかもしれない。

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昨年に続き連覇を達成。竹田杯をその手に


そして先の『全日本オープンローテーション選手権大会』で大会2連覇を達成した。ローテーションは他の種目に比べて手球に制約が多く細かいテクニックが求められるため、田中好みのゲームだと言える。今回も楽しそうにプレーする姿が印象的だった。だが本人にそれを伝えると「そう見えましたか? あの日は納得できるショットがほぼなくて、かなり悪い状態だったんですよね」との返事が。

「ただツキはありました。そして勝てたことが何よりです。ずっと気持ちは途切れなかったし、そう(自分の気持ちをコントロール)できたことで運勢が逃げなかったのかもしれないですし」と談話は続いた。この日、田中は予選から計7試合を戦い全勝。結局、相手は全員田中より年下のプレイヤーで、ベスト8以降は杉原匡栗林達、そして大井直幸を倒してのタイトル奪取に。奇しくもこの3人は同学年で、田中より8歳下になる。

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決勝戦では現ランキング1位の大井直幸と対戦


もうベテランの域に入りつつある。「誰がどう見ても若手じゃないですよね(笑)。だけど、まだまだビリヤードのことが見えてこないし、わからない時が多いです」。本心だろう。だが焦る様子もない。「今年の目標ですか? いや、どうしようとか決めてはいないですけど、やっぱりランキングは上にいきたいですよね。特に去年より上には」。

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好調なスタートを切った手球アーティストのプレーは今シーズンも見逃せない


昨シーズンの田中は5位だった。自身の最高位は1位('09年)で2位('05年)、3位('13年)もマークしている。ちなみに4位も'06年に経験済みだ。今年は開幕戦から準優勝、優勝と、田中にとって最高の滑り出し。締めの質問に「今シーズンの目標は?」と訊いてみる。「どうしようかな? ははは。まあ、結果を出していきたいですね。うん」。本当に微妙なタッチの違いなのだが、40歳の田中の言葉は、確実に意欲と情熱を含んできた。

Akira TAKATA