第65回全日本オープンローテーション選手権大会
田中雅明が全日本ローテを連覇!!
ポケットの全国大会として最古の歴史を誇り、またJPBAの公式戦の中で唯一ローテーション種目で競われる『全日本オープンローテーション選手権大会』。65回目を迎えた今年は大阪に舞台を遷し、春の訪れを感じさせる気候の中『高井田ビリヤード』にて昨日開催された。
300点先取のローテーションはゲーム展開のバリエーションに富んでいて面白い。らしくないミスを応酬するテーブルもあれば、シュートもセーフティも「さすが」というレベルのショットを互いに見せ合うシーンも。なおローテーション種目では必須の『ハイラン賞』は、羅立文戦で出した240点で大井直幸が受賞した。ブレイクノーインで途切れたが、もし入っていたら1イニングでゲームセットになっていた可能性もある。
左からB級の部3位・篠田仁(中国)、優勝・河合宏明(関西)、準優勝・前尾武志(関西)、3位・八手又孝治(九州)
同時開催の『B級の部』は例年通り120点先取で行われ、ベスト8までは『タツミ』で進行した後にオープン級の会場へ合流。その後もスムーズに進んで、オープンクラスがベスト8に入った時点で決勝戦がスタート。結果、関西代表対決となったファイナルを制して(120-22)河合宏明が優勝。準決勝でもシャットアウトする好調さを見せていた河合は、応援に駆け付けた仲間やライバルたちから盛大な祝福を受けた。試合終了後には「長かったB級も卒業です。A級でも頑張ります」と次のステージに意欲をのぞかせた。
そして間もなくB級の部は先に表彰式が執り行われ、河合を先頭に準優勝の前尾武志、3位の篠田仁(中部)と八手又孝浩(九州)という面々が賞状と記念品を受け取った。オープン級ベスト8を戦っていた選手たちも試合を止めて大きな拍手で入賞者たちを祝福した。また表彰後の挨拶では、JPBAの浪江隆理事長が「早い段階でA級でも活躍することを期待します」と入賞選手たちにエールを贈った。
オープン級のベストアマは大野著仁(四国)
再びオープンクラスに戻ると、準決勝の組み合わせはアマチュア時代にはともに名人位に就いた経験を持つ田中雅明−栗林達、同じくアマチュア時代から親交が深い井上浩平−大井直幸というカードに。今シーズンのJPBA男子が初優勝続きだったが、ベスト8で重中政信が大井に敗れた時点でその可能性は消えた。だが重中は「初めて賞金を手にすることができました」と喜び、確実な手ごたえと次なる目標を掴んだ様子。
ハイラン賞の大井直幸(240点)、流石の準優勝
準決勝はともに最終ラックを待つことなくディフェンディングチャンピオンの田中と一昨年の本大会優勝者である大井が制した。田中は2度目、大井は3度目の全日本ローテーション制覇を懸けて決勝戦に臨む。中盤まで完全に五分の展開となったが、後半を主導したのは田中。準決勝と同様に最終ラックを待たずに優勝を決めた。(300−163)「今日はツイていましたね。決して出来はよくなかったけど、気持ちを途切れさせずに撞くことができたので、流れも来てくれたのかもしれません」と笑顔で語った田中は、これで開幕戦から準優勝、優勝というシーズン好発進。
左からオープン級3位・井上、優勝・田中、準優勝・大井、3位・栗林
また開幕戦を中国遠征で欠場した大井は(JPBAポイント対象ではないが)『京都オープン』での大会3連覇達成に次ぐ準優勝という成績で、今年も序盤から十分に強さを披露している。こうして今回も豪華なメンバーが見応えのあるバトルを繰り広げて歴史ある大会にまた一つ年輪を重ねた。あとはもっと華やかに賑やかに、ギャラリーが集う大会にしてゆくことが大会を継続してきた諸先輩方、歴代選手権者に名を連ねる名手たちへの恩返しとなるだろう。
Akira TAKATA