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2015.02.03 その他

"ニューズ"を経て

テンボール世界選手権、日本選手は出場せず

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写真はフィリピン・マニラ(テンボール世界選手権の会場とは異なる)


フリージャーナリスト・後藤健二さんがISIL(イラク・レバントのイスラム国)を名乗る人物に殺害されたと見られる事件を受け、日本プロポケットビリヤード連盟(JPBA)から「フィリピン10ボール世界選手権・日本選手参加取りやめのご報告」というタイトルで、2月中旬よりフィリピンで開催される『テンボール世界選手権』への日本選手参加取りやめがアナウンスされた。これはISILが「日本人をテロの標的とする」ことを宣言したことに由来する。

一連の事件を受けてスポーツ関係各所などから日本プロポケットビリヤード連盟(JPBA)へ、今回の参加取りやめの要請があったそうだ。その要請には強制力があった訳ではないが、JPBAとしては不参加を決めたという。事件から日にちが浅いことを踏まえれば、不参加の決定も致し方ないところだろう。

外務省の発表する地域渡航情報によると、大会が開催されるミンダナオ島のジェネラル・サントス市はそこで示される4段階の危険度(特に注意喚起を促していない地域[日本の周辺国では韓国・台湾・タイなどがこれにあたる]も含めると5段階と見ることもできる)の内「渡航の是非検討」という危険度からいえば上から3番目(最下位は「十分注意」)のレベルにある。ただ、周辺一帯は全て、それより上の「渡航延期勧告」(上から2番目)だ。

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フィリピン・マニラで'13年に開催された女子テンボール世界選手権の会場


日本人にはイメージしにくい話ではあるが、東アジアだと北朝鮮が最も高く、唯一の「渡航延期勧告」扱いとなっている。もっとも、ここで最上位の「退避勧告」が出ている地域というのはイスラム系過激派組織が暗躍する中東やアフリカのいくつかの国ばかり(※この地域渡航情報は、海外に渡航・滞在される方が自分自身の判断で安全を確保するための参考情報であることは肝にとめておいて頂きたい)。

今回、世界選手権が開催されるミンダナオ島は、外務省や『在フィリピン日本国大使館』の発表によるとISILではなくともいくつかのイスラム系反政府勢力や共産系反政府勢力といった多くのテロ組織が存在し、軍や警察と衝突していることは確かな様子。それら組織とISILの関係性は定かではないが、中にはISILと同盟を結んだと主張する組織も存在するようだ。

テロ行為とはいついかなる時に発生するのかを予測するのは難しく、だからこそのテロとも言える訳で、個人や団体問わず、それに対してどのような対策を取るかは難しいところ。思想や宗教とは関係なく、健全に争われるべきスポーツの場にまで影響が出てしまうのは残念と言うほかない。

外務省 海外安全ホームページ
www.anzen.mofa.go.jp/index.html
在フィリピン日本国大使館よりのお知らせ
www.ph.emb-japan.go.jp/pressandspeech/osirase/2015/020215.html