2014年プレーバック・JPBA女子
年間4勝で2年連続のMVPの座に就いた河原千尋
今年のJPBA女子を総括すると、『勢力図の変動』というキーワードが浮かび上がってくる。一見すると穏やかな印象だが、確実に勢力に変化があり、新戦国時代に突入した一年だった。今回はそんなJPBA女子戦線の1年を振り返り、来シーズンの見どころを探ってみよう。
本格復帰年の初戦で優勝を遂げた栗林美幸
まず開幕戦の『関西オープン』が大きく揺れた。ファイナルカードは栗林美幸と佐藤千晶。実力派の栗林とはいえ、産休明けの本格復帰を果たしたシーズンの初戦で、いきなり優勝を遂げたのはさすがの一言。対する佐藤はプロデビュー戦で準優勝と、2003年の栗林を彷彿させるセンセーショナルなお披露目となった。
ファンの印象に強烈に残るルーキーイヤーとなった佐藤千晶
続いて『全日本女子プロツアー第1戦』では工藤孝代がプロ入り後初ファイナルへ。そこで河原千尋がシーズン1勝目を挙げ、これを皮切りに今年の全日本女子プロツアー3戦全戦制覇という大樹を立てることとなる。『大阪クイーンズオープン』では栗林が早々の2勝目。ここで昨年4位だった野内麻聖美が決勝戦へ進んで存在感を示した。
プロ入り3年目にして初のファイナル進出、トップ10入りを果たした工藤孝代
秋に入ると『関東オープン』でシーズン4度目の優勝を飾った河原が首位独走体勢に入る。だが、ここまで足音を潜めていた梶谷景美が準優勝につけると、翌週に開催された『東海グランプリ』で同一カードとなったファイナルでリベンジを決めて優勝。一気にトップグループに返り咲いた。
梶谷景美は貫禄の3位入り。やはりなおトップの一角
そして『北陸オープン』では野内が曽根恭子を破ってビッグタイトルを獲得。このあたりで上位体形が固まり、決着は『全日本選手権』へ。国内のレースを独走した河原が、日本のエースとして尼崎入りし、全てを背負う中で日本人最高位となる3位入賞を果たした。このハイアベレージはまさに日本一。いよいよ来年以降の世界獲りも現実味を帯びてきたと感じさせた。
夕川景子、優勝こそなかったものの、安定感のある活躍で自身最高順位の2位
結果、総合順位は下を見ていただくとして、河原は過去5年の平均ランキングを1.2と突き抜けた数字を残し、1年を通して安定感を見せた夕川景子が自身の過去最高順位につけた。また梶谷は日本ランキング3位以内に居続けるという記録を継続させ、栗林は昨年から26位順位を上げた。そしてファイナル進出がニュースにならない野内や曽根はそれぞれ2年3年連続のトップテン入りをキープし、工藤はその壁をプロ3年目で破った。同じく3年連続でそのポジションを確保した久保田知子、ルーキーイヤーで一躍スターの仲間入りを果たした佐藤。そして藤井寛美は2度目のトップテン入りを遂げ、高木まき子は5年ぶりにその枠に返り咲いた。
新旧のプレイヤーが自身との闘いに挑み続けて、その成果が数字となって示されるのがプロの世界。来シーズンはさらなる激戦が予想され、ファンにとってもスリリングな年になること間違いなし。こう書いている間にもプロたちは地道な練習を重ねていることだろう。美しき挑戦者たちに幸あれ。
2014年JPBA女子年間ランキング
1位 河原千尋
2位 夕川景子
3位 梶谷景美
4位 栗林美幸
5位 野内麻聖美
6位 曽根恭子
7位 工藤孝代
8位 佐藤千晶
9位 藤井寛美
10位 久保田知子、 高木まき子
Akira TAKATA