全日本選手権、7年振り日本人ファイナル進出
大井直幸、初の全日本選手権決勝を撞いた
2014年最後にして最大の試合、『第47回全日本選手権大会』の舞台で最終日の朝から決勝戦を終えるまでの間、会場中の視線を最も集めていたのは紛れもなく、大井直幸だった。日本最強と名高いこのスタープレイヤーは国外から参戦してきた強者達を次々に打ち倒して自身初の、日本人として7年振りの決勝戦の舞台まで駆け上がっていったのである。
張榮麟戦は今大会のベストバウトだろう
ベスト16で今年の『ジャパン・オープン』覇者のアントニオ・リニング(フィリピン)、ベスト8で昨年の選手権準優勝者の張榮麟(台湾)、ベスト4で今年の『チャイナ・オープン』優勝の張玉龍(台湾)と世界レベルで戦い続けている選手達を相手に決勝戦にまで勝ち上がっていった。いずれの試合も厳しいゲームとなり、特に張榮麟戦はヒルヒルに至る大熱戦となった。
試合中の表情の多さや観客を盛り上げる言葉は大井のプロとしてのスター性も示している
その間、プレーで、そして時には観客席を自ら煽りつつ、観客の視線を常に自分自身に集め続けた。観客席では試合を追うごとに期待が高まり、決勝戦が始まる頃には大井による、9年振りの日本人全日本選手権優勝が現実味を帯びつつあった。それだけの技術を、世界レベルと対等以上に戦えるだけの力を、大井はファン達に見せ付けたのである。
会場中が盛り上げ、羅立文からは「大井くんガンバレ!」と声が上がっていた
フィリピンの次世代エースと目されるレイモンド・ファロンのブレイクから始まった決勝戦、会場は大井の優勝の瞬間を今か今かと待ちわびたたが、最初の3ゲームを先取したファロンが最後までリードを守り切り、惜しくも日本人優勝はならなかった。しかし、当然ながら大井の実力が劣っていた訳ではない。ほんの少しの勝負の流れの向きが結果を分けたのであろう。試合後の大井、インタビュー映像も合わせてご覧頂きたい。
ファイナルは惜しくも及ばなかったが、来年以降への期待を高めた
そして、今回の結果は大井を筆頭とした日本のトップ達が世界と充分に戦える力を持っている事を示したと言えるのではないだろうか。2014年の年間MVPも決めた大井、そして日本の選手が、世界の頂点にまた立つ近い未来を日本のビリヤードファンにリアリティーを持って想像させる全日本選手権となった。
今大会のベスト16以降の大井の試合の映像は全て、ビリヤードネットTV『CBNT』および『ビリヤードCUE'S』本誌3月号付録DVDとしてビリヤードファンの皆様にお届けする予定だ。まずは、11月28日(金)の決勝戦配信日をお待ち頂きたい。