第47回全日本ポケットビリヤード選手権大会閉幕
男子ベスト4。左から3位タイ・李赫文(中国)、優勝・レイモンド・ファロン(フィリピン)、準優勝・大井直幸(JPBA)、3位タイ・張玉龍(台湾)
11月18日(火)の男子ステージ1に始まった『第47回全日本ポケットビリヤード選手権大会』が、先ほど全試合を終えて無事に閉幕した。結果から先に入ると、男子はフィリピンの新星、レイモンド・ファロンがファイナルで大井直幸を破って、女子の部は呉芷婷(台湾)が現世界チャンピオンである劉莎莎(中国)を下して、それぞれ全日本選手権初優勝を遂げた。
女子ベスト4。左からベストアマ・小西さみあ、3位タイ・蔡佩真(台湾)、優勝・呉芷婷(台湾)、準優勝・劉莎莎(中国)、3位タイ・河原千尋(JPBA)
今年の選手権を総括するとすれば、「海外に新しい層が著しく成長を遂げている」という強いインパクトと「日本勢の迎え撃つ力が高まっている」という2つの点に集約されるだろう。前者は男子ではフィリピンや台湾で従来セカンドグループに属するとみられていた選手が、「世界を獲る日も近いだろう」と日本のプロが口を揃えるほどに超一流の戦いを披露していたので、日本のプロに多大な刺激を与える結果に。
準優勝の大井。決勝では敗れたものの、世界を相手に堂々の戦いを見せた
また後者は例年"金星"はステージ2がほとんどであったが、今年は決勝シングルに入ってからも、
杉原匡が昨年の覇者である
柯秉逸(台湾)を、
井上浩平が
ロドニー・モリスを、そして昨年日本人最高位の北谷好宏もジェフリー・デルーナ(フィリピン)を封じるなどの活躍で最終日へ進出。そして今大会で自身3度目となる日本ランキング1位を決めた大井直幸は、世界王者クラスの実績を持つ3名の外国人選手をなぎ倒してのファイナル進出を決めている。
女子の日本人最高位は河原千尋の3位タイ
詳細はトーナメント表をご覧いただくこととして(大会結果は
コチラから)、会場内で見ていた全ての人が、日本勢が海外の強豪を相手に億すことなく高い技術を披露したことは間違いない。結果、ファイナルで大井の夢は叶わなかったものの、今大会で大井が世界を狙える存在であることを示した。と同時にそのライバルたちも、同様に可能性を持つことも理解される機会となった。なお、優勝したファロンを含むジェフリー・イグナシオ、ヨハン・チュアの3名が次世代フィリピンエース候補と目されていた。
男子優勝のファロン。日本のファンにも大きなインパクトを残した
女子の部はベスト8で2人残った日本人同士が対戦することとなり、
河原千尋がアマチュアの小西さみあを相手に日本一のプロとして貫禄を見せつける結果となった。そして劉に惜敗して、昨年の成績(準優勝)を上回る結果は来年以降へ持越しに。ただし「やるべきことの理解は増していて、それが出来なかった時にそういう結果になりますね」と、台湾修行で感じる手応えと最高の結果に向かう準備が進んでいることを窺わせた。
女子優勝の呉。これで日本で3つめのビッグタイトル獲得となった
また初出場で5位タイ入賞を果たしベストアマ賞を受賞した小西は、「1勝できたらいいかな? という挑戦者の気持ちで来たので、結果は出来すぎだと思います。でも、とても楽しくプレーをすることが出来て、世界ジュニアに出ていた頃のような気持ちになりました」と、大会出場が有意義であったことを語ってくれた。優勝した呉は今年のジャパンオープン、そして昨年の北陸オープンと、日本のビッグタイトルは3つ目の獲得。成長著しい呉の活躍は、来年以降に迎え撃つ層が厚くなるための課題を示してくれた。
大井と河原を筆頭に、日本のビリヤードシーンを明るく盛り上げてくれた全ての選手に感謝の気持ちを込めて。
また大会の模様は
facebookページに多数の写真をアップしています。さらに白熱の男子決勝の模様は11月28日(金)に
CBNTで配信予定ですので、こちらも併せてぜひご覧ください。
Akira TAKATA