Player Pick Up 土方隼斗
土方隼斗、'14年東日本グランプリ最終戦を制覇!
1月に行われた『関西オープン』以来の優勝だ。実に9か月振りとなる今回の『東日本グランプリ第7戦』の1勝を「久しぶりの優勝」という人も多いかもしれない。
2014年の東日本では17のランキング対象試合があり、言い換えれば最大で17人しか優勝者は出ない。しかし勢いのあるプレイヤーが1人で3、4勝したり、海外勢が優勝をさらっていくこともある。そう考えると優勝を手にする選手は多くて年間で10人と少しほど。その中で2勝を上げればトッププレイヤーとして十二分に優秀な成績と言える。それでも久しく優勝から離れていたという印象を持たれるのは昨年の年間5勝、ランキング1位の鮮烈な活躍ゆえだろう。
ギャラリーの注目はやはり土方に集まっていた
この日の土方隼斗はベスト16の高橋邦彦戦で8-7のヒルヒル対決を辛くも勝利し、ベスト8で西尾祐(8-5)、準決勝で有田秀彰(8-6)を相手に勝ち上がっていった。「調子は良くなかった」「決勝までは集中力に欠けていた」と試合後に話していたが、それでも難しい試合展開をものにした。
何度も名勝負を繰り広げてきた二人、ファイナル前にはハイタッチ
そして迎えたファイナルの相手は今年既に3勝(第3、4、5戦)を上げ、グランプリMVPを決めている栗林達だ。直近の対戦は東日本グランプリ第5戦決勝戦で、これを栗林が勝利している。しかしながら過去の対戦成績で言えば五分と五分、どちらが勝つかわからない、ハイレベルな戦いとなることは火を見るより明らかだった。
試合内容はやはり、競った内容になっていった。序盤に3-1と栗林がリードを奪ったかと思えばすぐに土方が取り返していき6-3と逆転し、さらに栗林が追いすがるといった展開。テーブルコンディションの難しさもあってかランアウトを量産する、といった試合では決してなかったが、細かな戦略が冴える締まったプレーを互いに見せた。
ゲームボールを沈め、高々とキューを掲げた
第13ゲームは7-5と先にリーチをかけた土方のブレイクで始まり、10番まで一抹の淀みもない見事なマスワリでゲームを締めくくった。そして双手でキューを高々と掲げた土方の晴れやかな笑顔には万感の思いが詰まっていた。
自身の持つグランプリ最多優勝回数を11回と更新する今回の優勝、本人も「この優勝は大きいですね」と語った。これは来月の『全日本選手権』への布石となるのだろうか。最後に全日本選手権を獲った日本人は2005年の奥村健。奥村はその年、同じくバグース六本木で開催された東日本ブランプリ最終戦も優勝している。そしてそのファイナルの対戦相手は当時16歳、プロテストを受ける直前の土方だった。どうしてか、2人が重なって見えてくる。昨年の大活躍の中でも果たせなかった、「全日本優勝」への期待は今回の優勝を受けて高まる一方だ。