第15回マスターズ閉幕
優勝は大坪和史。球聖戦に続き、今年2つめのビッグタイトル獲得
20日(土)から大阪の『高井田ビリヤード』を舞台に開催されていた『第15回マスターズ』。2日目の今日は、例年通り予選敗者最終の回転からスタートし、その後に16名でのシングルトーナメントを行い、記録と記憶に残る好ゲームと超SA級の強さを存分に披露して、午後7時前に表彰式を終えて散会となった。
会場となった大阪府・東大阪市の『高井田ビリヤード』
まず初日の特筆は、現女流球聖の佐原弘子が予選を無傷の3連勝で勝ち上がり、勝者側から決勝シングルへ進出を決めたこと。全国から男子のA級上位〜SA級が集う中、女子アマチュア選手を代表して、レベルアップが加速する女子界の強さを示す格好となった。「戦えるという手応えと、決勝日になるとまだ通用しない点を確認する機会となりました」と、佐原はまた1つ階段を登るきっかけを得た様子だった。
女子トップアマの力を存分にみせた佐原弘子
またベスト16の枠を、神奈川の4名を筆頭に11人の関東勢が占め、関東圏の層の厚さを誇示する形に。だが準決勝に入った時には、東は静岡、西は広島という布陣となり、少数精鋭の西日本が巻き返す。その対戦カードは大橋義治(滋賀)vs和田敏幸(愛知)、大坪和史(広島)vs羽切進一郎(静岡)。ここは多くのタイトルを持つ和田と大坪が勝利を収めて、決勝戦へ駒を進めた。
名人位決定戦の再現となった準々決勝。ここでは和田(写真右)がリベンジ!
大坪は実に2年ぶり5度目の決勝進出という、慣れた感のあるマスターズファイナル。一方の和田もベスト8の回転では喜島安広現名人(埼玉)を相手に先の名人位決定戦のリベンジを早速果たすなど、やはり別格の強さを見せている。そんな2人の決勝戦は序盤を優勢に進めた和田が5-2までリードを広げるが、結局ヒルヒルに突入。そしてブレイクインから取り出しの1-7コンビを狙った大坪がこれを逸らし、「オープンとなったので負けたと覚悟をした」配置を和田が慎重かつ軽快に取り切ってゆく。
決勝は現球聖vs前名人。超SA級の戦いとなった
そして辿り着いたゲームボール。「普段ならキューを立ててスパッと撞くのだけど......」と和田が振り返るクッション際の手球で優しく狙った10番は無情にもカタカタをして穴前に残った。ここで和田がOKを出し、大坪はゲームボールを撞くことなく、8年ぶり2度目のマスターズ優勝を飾った。
大会ベスト4。左から3位タイ・羽切、優勝・大坪、準優勝・和田、3位タイ・大橋
これで本大会の最多優勝レースは、3度優勝の持永隼史を筆頭に、2度優勝が西嶋大策(現JPBA)、小川徳郎、大坪和史の3名に。何と15回中、9回を4人の選手でタイトルを占めることとなった。記録を残した大坪に記憶に残った和田。そして大会を盛り上げた超SA級の面々が繰り広げるドラマは続いていく。次は11月8〜9日(土・日)に名古屋の『名東スポーツセンター』で開催される『全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会』。今年のアマチュアポケット界を締め括る大会に向けて、次なる戦いが始まろうとしている。
Akira TAKATA