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過去のニュース(2014年)

2014.09.09 トーナメント

喜島安広が当代最強アマを襲名

第54期名人戦名人位決定戦から

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史上4人目の『名人』『球聖』のダブルタイトル獲得!

喜島安広、31歳。現存するアマチュア全国大会6大会中4つのタイトルを保持する男。そんな彼は、先の『第54期名人戦 名人位決定戦』で勝利を収め、6大会中5タイトルを奪取した。

9月7日の日曜日。愛知県西尾市の天候は晴れ。第53期名人の和田敏幸が今年から新オーナーになった『プログレス』で決戦の火蓋は切って落とされた。ローテーション300点先取の5セット先取り。極めて長いフォーマットだが、序盤から両者のリズミカルなプレー、そして何よりミスの少ない展開でハイスピードゲームが繰り広げられた。

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敗れはしたものの、観客を大いに魅了した和田敏幸

大勢の人を魅了する2人。会場にいた約100人のギャラリーに対して、ネット配信を視聴した人々に対してビリヤードの面白さとトップアマの技術を存分に伝えた1日だった。中でも挑戦者・喜島安広がセットカウント4-2で王手をかけて迎えた第7セットは、半世紀を超える名人戦史の中でも類を見ることのない好ゲームで、両選手に球の神様が降りてきたようなゲームだった。

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喜島安広、和田とともに名勝負を繰り広げた

2ラック目を終えて187点、3ラック目を終えて276点まで到達した喜島。対する和田は84点と、絶対絶命のピンチ。しかし、ここから和田が反撃体勢に入ると、遂に逆転を果たして、セットカウントを4-3としたゲームだ。この最終ラックはセーフティの応酬となり、ワンラックに30分以上を要する異例のロングゲームとなったが、誰一人退屈することなく、目の前で次々と飛び出す神業に惜しみない拍手と声援を贈り続けた。

結果、次のセットは喜島が怒涛の追い上げの末、土壇場の最終ラックで、2番で得たチャンスを生かしパーフェクトに主導権を握るゲームメイクに成功して、セットカウント5-3で新名人の座に就いた。と同時に、この日喜島応援団が掲げた応援幕に記された『真名人』の誕生の瞬間でもあった。

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和田の大応援団が集結

しかし喜島陣営からは「今の喜島を止めることはほぼ不可能。和田選手はそれを出来る数少ない人」と評されたように、和田の強さは異次元の粋にあることは間違いない。そんな和田応援団からは「喜島選手の爆発力を考えると、スロースターターな彼のエンジンがかかる前に和田選手がどれだけリードを奪えるかがカギ」という声が開始前に漏れ聞こえていた。そして喜島が2-0とダッシュに成功したものの、中盤以降を五分の闘いを演じたことが、今回の決定戦における両者の拮抗ぶりを示していたと言えるだろう。

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埼玉からも多数の応援が駆け付け、第54期名人の誕生を見届けた

終了後に両選手は笑顔で抱き合い、会場から割れんばかりの拍手が贈られて、今年の名人戦は幕を下ろした。新名人に対する埼玉(SPA)のチームメイト評は「(あれほどの戦績を持っていながら)まったく天狗になっていないところがスゴイ」というもの。これで高橋邦彦栗林達、そして広島の大坪和史に次ぐ4人目の『名人』『球聖』ダブルタイトル獲得を成した喜島。彼が唯一獲っていない『JAPAマスターズ』は来週末に大阪で開催される。

Akira TAKATA