第30回関東オープン&第22回関東レディースオープン
会場は『バグース六本木』
9月8日(日)、東京都港区の『バグース六本木』にて『第30回関東オープン(東G3)』、そして『第22回関東レディースオープン(G3)』決勝トーナメントが開催された。前日の予選(男子は渋谷区『CUE』、豊島区『ビリヤード・ロサ』にて開催)を勝ち抜いたのは男子16名、女子8名。1回転目から熾烈な争いが最後の試合まで繰り広げられた。
12年の関東オープン以来の優勝を狙った塙圭介
男子はテンボール、勝者ブレイク、9ゲーム先取というフォーマットでの開催。前週の『兵庫オープン』優勝者の栗林達、土方隼斗、赤狩山幸男がベスト16で敗れ、梅木大輔を破った羅立文もベスト8で敗退となった。次々とトップランカー達が姿を消す中でファイナルまで進んだのは土方、田仲海輝、内垣建一を破った高野智央と、津堅翔、羅、浦岡隆志を相手に勝ち進んだ塙圭介の2名。
勝てば実に7年振りの優勝となる高野智央
塙が勝てば12年の関東オープン以来の優勝、そして高野が勝てば07年『関西オープン』から7年振りの優勝となる。試合は序盤から一進一退の攻防が続いた。中盤から一歩先を行ったのは塙。1ポイント差で先にリーチをかけるものの、優勝へのプレッシャーはこれほどまでのものかと感じさせるような思わぬミスが塙に出てしまい、高野がそれを返し勝負は8-8のヒルヒル対決に。
最終ゲームはテーブル上に目に見えるのではないかというほどの濃い緊張感が漂っていた。両選手ともに優勝へとかける思いは一入だ。それゆえか、なかなか思うようなプレーをできていない様子だった。高野のジャンプショットが場外になり、トラブルもなくオープンな配置を塙が残り3球の場面でミスを出してしまう。その配置を最後はしっかりと取り切った高野が7年振りの優勝を手にした。
男子ベスト4 左から3位・浦岡、優勝・高野、準優勝・塙、3位・内垣
一方、女子はナインボール、勝者ブレイク、7ゲーム先取というフォーマット。あっという間のスピード決着の試合が続出する試合となった。ファイナルは工藤孝代、李佳を破った河原千尋と、元廣麗子、夕川景子を相手に2試合で3失点と力を見せて勝ち上がった梶谷景美の対決。昨年の『全日本選手権』とまったく同じ対決。まさにゴールデンカードとなった。
今年初のファイナル進出となった梶谷
1日を通してイリーガルブレイクも多く、台のコンディションに少し悩んでいた河原だったがこの決勝はいよいよエンジン全開といった様子だった。意外にも今年は初の決勝戦を撞く梶谷も決してミスが多かった訳ではないが、河原の勢いに圧されてしまったようだ。第4ゲームで8番ボールをミスして梶谷に得点を許した以外は河原がゲームを支配し、結果的には7-1というワンサイドゲームとなり、前戦8月の『2014 女子プロツアー第3戦』から続いての連続優勝となった。
河原の台湾での練習の成果が着実に結果に繋がっているようだ
河原は2年連続の年間MVPに向けて今年遂に4勝目だ。現在、河原は台湾を練習の本拠地にしているが、今週末の『東海レディースグランプリ』に向けて今週は日本に滞在する予定とのことだ。東海への意気込みを聞いてみると「いつも通りやるだけ。良い内容の、見てくれるファンの参考になるような試合をします」。勝利直後でありながら気負いもなく、平常心の日本のエースの語り口は今後のさらなる活躍を予見させる。
女子ベスト4 左から3位・李佳、準優勝・梶谷、優勝・河原、3位・夕川
初秋の関東決戦は、高野が7年振りのドラマチックな優勝で大いに会場を沸かせ、河原がその高い地力で日本女子界の絶対不動のエースとしての貫禄を感じさせる、そんな大会であった。今週末には『第19回 東海グランプリ』、『第14回 東海レディースグランプリ』も控えている。ビリヤードファンにとっては楽しみが尽きない週末が続く。