スタートから1ヶ月。現場の声はいかに!?
関西圏初のJPAは京都でスタート
JPA(Japanese Poolplayers Association)という団体をご存知でしょうか? 本家はアメリカのAPAという27万人の会員を擁する、ギネスブックにも登録されたビリヤード界世界最大規模の団体で、その日本支部という位置付けの組織です。約8年前に東京で始動して関東圏内で活動の輪を広げ、昨年から愛知県で、そして先月から京都でも活動が始まりました。
関東エリアの人には馴染み深い様子ですが、他の地域では噂の域を出ない情報も多いと聞きます。そこで今回から2回にわたり、活動開始から1ヶ月経った京都で、異なる立場から関わってきた3人に話を伺って、できる限り生の声をお届けしたいと思います。質問はシンプルに「JPAを(お店で)やってみて良かった点、悪かった点」に絞りました。なおこの記事を書いている時点で京都市内でJPAの活動を行っているのは5店舗6チーム46人となっています。
開催店舗の一つ京都市内の『VAMP』での様子(写真提供/JPA)
●浪江隆氏のコメント(現JPBA理事長、京都市内で2軒のビリヤード場を経営、内1店舗から1チームが参加中)
「まず我々(プロの立場)はビリヤード人口を増やすこと、特に裾野を広げることに力を発揮してくれることを求めてきた訳ですから、それを現実のものとするJPAさんの活動には大賛成です。そこに異論を唱える点はありません。また、既に活動を行ってきた東京や愛知の人達からも事前に意見を聞きましたが、『お店にとってデメリットはない』『他の組織と衝突したこともない』といった話を聞けたので、ウチのお店でもお客さんが中心になって動いてくれたのでスタートすることができました。
ジャパンオープンの決勝日、JPBA理事長として開会の挨拶をする浪江氏
悪い点というのは今のところ見当たりませんが、心配ごとと言いますか、『スキルレベルの高いキャプテンクラスの人達が、チーム戦に忙しくなって本人の個人戦への出場が減ってしまう、ということのないように』ということを願う気持ちを持っています。そしてこれは余談ですが、1997年にWCBS(世界ビリヤードスポーツ連合)の設立会議とBCA(アメリカビリヤード評議会)オープンがラスベガスで開かれた際に、同じホテルで何百台のテーブルを並べてAPAが試合をしているのを見たことがあります。そのスケールに驚きつつ、その人達が誰もBCAを見に来ないので、当時は不思議に思っていました(笑)。
私などはビリヤードに夢中になった頃から『上手な人の球を見たい!』という気持ちでしたから、そうした部分では感覚は違うのかもしれません。JPAに参加された皆さんが今後もビリヤードをより楽しんでいただくことを願うとともに、国内でも魅力的な試合は多数開催されていますので、そうした場に足を運んでいただくことにも期待をしています」
プロという立場、お店の経営者という立場、それを切り離して整理しつつ、異なる2面から冷静に分析された談話ですね。従来なかった『裾野を広げる』活動と、既存の競技団体や選手層との共存共栄という点が、今後の課題と捉えているとも窺えます。
明日の後編では現京都府ビリヤード協会理事長で、自身が経営するお店から2チームを出場させ自らもメンバーとして参加する小山久博氏に、そして専属プロとして勤務するお店でチーム結成の段階から関わり、今もチームと密な関係にある
光岡純子プロに、「それぞれの目線で見たJPA」をテーマに聞いた話を紹介していきます。
Akira TAKATA