ベトナムのビリヤード事情とニャチャンの街
ニャチャンの海岸線は世界有数の美しさを誇る
前日にお伝えした前編に続き、後編では藤間一男氏が現地で見て実際に体感したベトナムのビリヤード事情、そしてニャチャンの街についてのリポートを以下で伝える。
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レフェリーライセンス発給の仕事が終わり、人口30万のニャチャンの街をぶらついてみた。海岸沿いのメインストリートに面するカフェやレストランは室外で木立におおわれている。冷房はもちろん効いていないが、結構流行っているようだ。
一昨年に当地を訪問した時はそうではなかったが、ロシア人観光客が非常に多いのに驚いた。ホテルの情報紙、レストランのメニュー、街の看板もロシア語が目立つ。この地のローカル空港にもモスクワ直行便が週1回飛んでいるほどだ。私が毎日通った日本食レストランもロシア人の客がおよそ半分を占めていた。タクシーはいたるところで拾えるし、料金メーターは50円~60円でスタート。30分近く乗っていても200円くらいと安い。
当市で最も設備がよいビリヤードセンターのスコアガール
同伴のベトナム政府スポーツ当局(VSA)役員に市内のビリヤード場を紹介してもらって入ってみると、ほとんどがキャロムテーブルでプールテーブルは少ない。全部で20台くらいの店でプールは2台だったがスコアガールがいるのには少々驚いた。彼女らの給料を聞いてみると月120ドルくらいとの返事。チップが結構多いとのことらしい。
テーブル料金は1台1時間で3ドル弱。興味がてらにLowクラスの店も案内してもらったが、入り口は開けっ放しで扇風機のみ。1時間の料金が1ドルだった。店内には2台から6台ぐらいが多いという。ホテルもそうだったが、どこでも英語がほとんど通じないのは少々厄介だった。
Lowクラスのビリヤード場、看板の『BIDA』はベトナム語でビリヤードを表す
あちらこちらを回ってみてベトナムは、周辺のアジアの国々とイメージが重なる。ロシア人をはじめとする観光客で占められたニャチャンの5キロにわたる海岸線で、物売りやスパの勧誘がしつこいように客に接している光景はバリ島そっくり。
街中を縦横無尽に走るバイクが歩道を占拠している様は台湾と変わらない。歩道に机や椅子が並んだ簡易食堂はバンコクやフィリピンと同じ光景。横道に入って民家の並ぶ通りには庭にバナナ、パパイヤ、マンゴの樹が多くみられ、インドネシアを彷彿とさせた。大衆食堂のお世辞にも清潔とは言えないテーブル上の光景は、中国や香港の裏通りを想い起こさせる。
全てキャロム台で、暑さ対策は扇風機のみ
滞在の最終日に受講者数人、VSA役員、通訳と共に沿岸の島巡りをし、食事はレストランで生簀に飼っているクエを料理したものが振る舞われた。日本人の感覚からは、お世辞にも綺麗とか衛生的だとは言えない雰囲気であったと私は感じたが、同行者達は無頓着だった。これがベトナムの日常生活なのだろうとあらためて感じる。
さて、8月中旬には休暇を利用してイランのテヘランに、今回同様の仕事で再び渡航する予定。その時にはまた紀行をお届けするつもりですのでしばらくお待ち下さい。
文・写真/藤間一男