APBU公認レフェリーライセンス発給のためベトナムへ
APBUレフェリーライセンスのトレーニング会場の表示と藤間一男氏
選手として一時代を築いた藤間一男氏は現在、世界ポケットビリヤード連盟(WPA)、アジアポケットビリヤード連盟(APBU)の要職に就く。今回同氏は、ベトナム政府スポーツ当局(VSA)の要請を受け、レフェリーライセンス取得のためのトレーニングとその発給のため、ベトナムを訪れた。以下はその仕事紀行である。
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カタール・ドーハで開催したナインボールのプレステージイベント、『ナインボール世界選手権』は世界52ケ国からなる248選手による595試合を完全に成功させて絶賛を得た。そして私は、12日間のトーナメントディレクターの仕事を終えた5日後、ベトナムのNha Trang (ベトナム語でニャチャンと発音する。ホーチミンから400キロ北東)に飛んだ。APBU公認のレフェリーライセンスを取得するためのトレーニングコースが、VSAの支援で開催されるためだ。
ベトナムへは9回目の渡航で、ニャチャンは一昨年に続き2度目である。4年ごとに開催されるベトナムナショナルゲーム(VNG)が今年の12月に開催予定で、キュースポーツが競技種目となる。その準備の一環としてレフェリーのAPBU公認が求められて、私が仕事として出向くことになったという訳だ。
トレーニング風景、奥の部屋が講義スペース
スポーツ団体の組織でレフェリーやコーチのライセンスを発給することは当たり前の状況である。アジア諸国のほとんどがプールやスヌーカーにレフェリーやコーチのライセンスを持つ構図は当然であろう。特に政府管轄でナショナル競技を開催している国々で私はAPBUのスポーツディレクターとして今までにプールの多くのライセンスを発給してきている。
今回はベトナム各地から25名がAPBUレフェリーライセンスを求めて参集し、VNG競技種目のエイトボール、ナインボール、テンボールの講義を聞き、レフェリーの実地トレーニングなど計4日間のコースを熱心に修得した。
連日37度を超える酷暑のなか、講義教室となった政府管轄の当地のスタジアムの一室は冷房が利かず、扇風機が数台回っている程度で汗ばむ室内。実地指導する1台のプールテーブルは別室で入口は開けっ放しの真夏環境での仕事になった。
受講者全員での集合写真。後列左から3番目がVSAの役員のDoan氏、藤間氏とは10数年来の付き合い。前列右端はハノイから派遣された通訳の女性
午前に2時間、午後に3時間の指導予定であったが、実際には4時間くらいで切り上げていた。私は講義を英語で行い、そこにVSAから派遣された通訳が付く。受講者のほとんどは英語が理解できないものの、ビリヤード用語をかなり理解していたので講義の趣旨は彼らに充分伝えられたと感じる。
また受講者は非常に熱心に傾聴してくれて満足した。最終的にペーパーテストを彼らが受けて全員が所定の合格点をクリアしたので、無事にライセンス保持者となる資格を得ている。
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以上が、前編のライセンス発給までの仕事の様子。後編では、ベトナムのビリヤード事情とニャチャンの街についてのレポートを届ける。
文・写真/藤間一男